教員免許状の取得に必要な教育実習について文科省は8月11日、今年度は実習生の受け入れが困難な学校が少なからずあることが見込まれるとして、やむを得ない場合には、教育実習の科目の総授業時間の全部または一部を大学での科目で代替できる特例措置を、今年度に限り講じるとした。同時に今後、教育実習を経験していない初任者が出ることを踏まえ、初任者研修での十分な配慮を都道府県教委などに求めた。

今年5月の通知では、「今年度に限り、教育実習の科目の単位の3分の1までを大学での実習で代替可能とする」としたが、今回の措置でさらに拡大させた。
その理由を「5月の時点では、秋以降には(新型コロナウイルスの感染状況が)小康状態となっていることを想定していたが、現在の状況では、教育実習生を十分サポートできる人手がない、学事暦の変更があり例年通りに受け入れられないという状況が想定される」(同省の担当官)と説明。
同省は「可能な限り教育実習を行うことが望ましい」としながらも、どうしても難しい場合は今年度限りの特例的な措置として▽教育実習の科目の総授業時間数の全部または一部を、大学などが行う実習により行うことができる▽学内の実習の実施が困難な場合は、課程認定を受けた教育実習以外の科目で代替できる▽これらを組み合わせることも可能――とした。
また、5月の通知で学生が学習支援員として参加した場合、実習期間の3分の1を超えない範囲で教育実習の単位として認めていることを踏まえ、「大学に対しては、学習指導員など学校教育の実際を体験的、総合的に理解できる機会への、学生の積極的な参加の促進を求める」とした。
同様に小中の教員免許状取得の要件となっている介護等体験についても、受け入れ施設での通常実施が困難である場合が想定されるとして▽大学などでの特別支援教育に関する科目▽医療関係職種の養成大学での介護などに関する科目▽大学などでの社会福祉に関する実習演習科目▽国立特別支援教育総合研究所が開設する通信教育――などを履修することで代替できるとした。
介護等体験については初任者研修での配慮の対象とはしないが、同省の担当官は「介護等体験で学べることは非常に多く、採用権者の判断で(追加的な対応を)行うことが望ましい」と話す。
萩生田光一文科相は11日の閣議後会見で、「実習そのものは受け入れができないとしても、学習指導員などで学校現場に行くことも極めて重要だ。教員になって初めて教壇に立ったというのでは、ものすごく緊張もするだろう。従来の研修とはややアプローチは違うが、学校現場にぜひ積極的に行っていただくよう、関連大学などとも連携を取りながら、後押しをさせていただいている」と述べた。
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