「やりがい搾取」の構造、教職にも 本田東大教授が指摘

学校の働き方改革について情報発信している内田良名古屋大学准教授らが主催するオンラインイベントがこのほど開かれ、働かせる側が労働者に「やりがい」を強く意識させ、働きに見合った賃金や手当を支払わない「やりがい搾取」の名付け親である教育社会学者の本田由紀東京大学教授が講演し、教師の仕事にやりがい搾取の構造があると指摘した。

教職のやりがい搾取性を指摘する本田教授(Zoomで取材)

本田教授はやりがい搾取が行われやすい特性として、①自分の好きなことを仕事にする趣味性②裁量に基づいて成果を最大化するゲーム性③顧客のニーズに最大限応えようとする奉仕性④高揚した雰囲気や身ぶりで巻き込むカルト性⑤崇高な価値や魅力、美を追究する神聖性――の5つがあると紹介。

その上で日本の教職は、自分がやってきた競技を部活動で指導し、授業や学級経営は個々の裁量に任され、子供のために献身的に働き、子供たちと一緒に盛り上がり、社会的には聖職とみられるといった、やりがい搾取の条件がかなり当てはまるとの見方を示し、「働き方の見直しだけでは不十分で、『子供のため』という価値観と向き合わないといけない」と指摘した。

さらに、すでに学校現場は、そのやりがいすらも感じる余裕がないのではと問題提起。経済協力開発機構(OECD)の国際教員指導環境調査(TALIS)2018の結果から、日本の教員は事務仕事や保護者対応でストレスを感じていると指摘し、「保護者対応は専門職にし、そこが窓口になってくれるようにするなど、教員の職務範囲を明確化すべき」と提案。学校事務のICT化、部活動の地域主体への移行などを進めるべきだとした。

同イベントでは本田教授に続いて、日本労働弁護団常任幹事で教員の長時間労働問題に取り組む嶋﨑量弁護士が登壇。教員の長時間労働は「子供たちによくない働き方の見本を示すことになり、悪影響になる」と懸念。学校現場で女性管理職の割合が少ないことなども、同様の問題があると指摘した。

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