大学入学共通テストでの導入が延期となり、文科省で再検討が進んでいる英語民間試験の大学入試での活用を巡り、日本学術会議は8月18日、共通テストで英語4技能のうちの「書く」と「話す」は実施すべきではないとする提言を公表した。また、大学入試センター試験の評価を踏まえて、共通テストにおける英語試験の継続を検討する必要があると提案した。
提言では、大学入試で民間試験を活用して英語4技能を評価する当初の方針に対して、中学校や高校の英語教育が民間試験対策に追われるような事態を招きかねず、「書く」「話す」に注力するあまり、かえって「読む」「聞く」の面が低くなる可能性があると批判。
問題点として、民間試験では英語4技能を切り分けて計測しようとしており、総合的な英語力を測る手段としては適切ではないこと、論理展開やイントネーションなども要素として含まれている「書く」「話す」を大規模な入試で計測することは困難であること、異なる種類の民間試験を活用することの公平性や公正性の確保への懸念などを挙げた。
これらの問題点を踏まえ、共通テストの枠組みの中で「書く」「話す」を計測すべきではなく、二次試験で「書く」「話す」を出題したり、民間試験を活用したりすることは、各大学で判断するのが望ましいとした。
また、文科省に設置されている「大学入試のあり方に関する検討会議」に対して、高校と大学の英語教員や受験生らにヒアリングやパブリックコメントを実施するなど、広く当事者の意見を反映させて検討することや、センター試験の評価を踏まえて、共通テストで当面は出題されることになっている英語試験の継続実施を検討することを求めた。
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