学習学の提唱者が語る未成功の大切さ コロナ危機と探究

新型コロナウイルスによって教育活動が制限を受ける中での探究的な学びの実践をテーマにした、英語4技能・探究学習推進協会主催の「ESIBLA教育フォーラム」が8月22日、オンラインで開催され、高校における探究学習の実践事例が発表された。基調講演では「学習学」の提唱者である京都芸術大学の本間正人教授・副学長が登壇し、教員自身が質の高い「未成功」を積み重ねる大切さを語った。

探究的な学びに向けた心構えを話す本間教授

本間教授は脳の記憶のメカニズムから、五感を働かせた学習の方が長期記憶につながりやすいと説明。探究的な学びも、学習者の五感や感情をいかに動員するかが重要になるとし、感動をいかに演出するかがポイントになるとアドバイスした。

さらに、「最終学歴よりも最新学習歴」を重視した社会に転換する必要があると強調。「学校教育における一斉授業では、正解があり、それに合致していて点数がいい子ができる子とされる。しかし、探究学習に正解はない。『Try and Learn』が大事だ。失敗の中にこそ学びがある。だから、失敗という言葉はやめて『未成功』と呼びたい。質の高い未成功を積み重ねるのが成功への道で、教育者が率先してそうすべきだ」と呼び掛けた。

実践発表では、地域と連携したキャリア教育に取り組む鳥取城北高校の大山力也教諭が、経済的な理由から進学を断念した生徒がいたことをきっかけに始めた、地元企業に生徒をインターンとして派遣する「インターンシップPJ」の取り組みなどを紹介。仕事ぶりが評価されれば、その企業に就職するケースもあるという。

大山教諭は「スタートアップ企業と連携するなどして、学校が最先端を学ぶ場になれば、教育も少しずつ変わる」と提案した。

また、「教えない授業」で知られる新渡戸文化学園の山本崇雄教諭も登壇。山本教諭は「教育の全ての主語が教師から子供たちになる。教師のスキルや教育観は違っていいが、誰一人取り残さないようにしないといけない。この両立のためには、教師同士が対話をするしかない」と指摘。

「手段ばかりにこだわって、本当の目的が失われてしまっている。心から実現したい教育ならば合意形成できるはずだ。アクティブ・ラーニングだけが正解ではない。教職員が家族のような意識を持って、互いにリスペクトしながら、合意形成をしていく必要がある」と、同僚の教師同士による徹底的な対話を促した。

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