長期的視点で「未来につながる学び」を 中教審部会

中教審の教育課程部会は8月24日、第119回会合を開き、新学習指導要領で各学校段階を見通した資質・能力の育成が目指されていることを踏まえて、各学校段階やそれぞれの接続において、どのような教育活動が必要かという観点で議論した。有識者や校長から論点の提示や実践例の報告があり、小学校高学年での専科教員の導入、異年齢の子供の交流、キャリア・パスポートの活用などが話し合われた。

議事進行を行う天笠茂・教育課程部会長(千葉大学特任教授)

白梅学園大学の無藤隆名誉教授は、小学校での教育課程の在り方について報告。小学校低中学年では、学級集団としての居場所と学び、教科国語・読書・家庭での読み聞かせなどを通した言語能力の育成などのほか、学年が進むにつれて、学校の教育課程に入っていないことについての学びの機会を広げることが必要であるとした。

また中高学年では、体験活動と教科との関連付けを自覚的に行うこと、主体的・対話的で深い学びへの指導を授業の中心とし、自学を定着させることや、個々に学びの地図を描き、教師とともに学習計画を立てて実施していくことが大切だと指摘。専科教員の導入や中学校との連携、専門的な補助員や研修の導入を提案した。

中学校については、福井市至民中学校の小林真由美校長が報告。「中学生は自分を知り、他者と関わりながら成長し、将来を漠然と考え始める時期。自分は将来何がしたいのか、そのために今、何をすべきか、中学校で何を学ぶのかと、常に生徒に伝えている」と話した。

その上で、将来の目指す姿を意識しやすくするための、縦割り活動や地域連携によるシチズンシップ教育、総合の時間を活用したキャリア教育など自校の取り組みを紹介した。

筑波大学の藤田晃之教授は、中学校から高校にかけて進路の悩みが急増するとともに、「楽しいと思える授業がたくさんある」「授業の内容をよく理解できている」と回答する生徒の割合が大きく減少することに着目。普通科高校の改革の議論を進めることに加え、複数年で同じ教科を段階的に履修する、生徒の到達度によりICTなどのツールを使うといった、授業が理解できない疎外感を減らす仕組みも検討の余地があるとした。

また個別最適化された学びが求められる中、その前提として、「今の学びが未来につながっている」と実感できるキャリア教育の充実が必要だと指摘した。今年度から導入された「キャリア・パスポート」が一助になるが、教員が記載するコメントや、振り返りのタイミングでの言葉がけが重要だと訴えた。

委員からは「3人の報告で、一貫した視点を持って子供たちを育てていくことがいかに重要かを再確認した。この学年・単元・教科という短期的な視点ではなく、学齢期を経た後にどのような資質・能力を持った市民を育成するかという点から、高・中・小の学習を逆算して考えられるような、長期的な視点が必要である点が重要だ」といった意見が出た。

教育課程部会ではこうした意見を踏まえ、議論の取りまとめについて引き続き検討するとしている。

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