障害児や外国人のデジタル教科書活用 必要な機能を検討

1人1台端末環境の整備を目指すGIGAスクール構想の進展とともに、本格導入が検討されている学習者用デジタル教科書について、文科省は8月25日、検討会議の第3回会合を開いた。今回は障害のある子供や外国人の子供に必要な機能について議論。座長を務める東北大学大学院の堀田龍也教授は「技術的な論点整理を急ぎ、実装を始め、実際に使って実証していくというサイクルが必要」と、実現に向けた早期の対応を強調した。

WEB会議で行われた検討会議

障害のある児童生徒は義務教育段階で全児童生徒の4.2%を占め、特別支援学校・学級だけでなく通常の学級で学ぶケースもあることから、検討会議の委員である慶応義塾大学の中野泰志教授は「全ての学校・学級に在籍することを前提に、学習者用デジタル教科書の配慮内容を考えることが必要不可欠」と指摘した。

これまでも子供の障害に応じて、音声教材や文字を大きくした拡大図書などが使われており、文字や図形などをピンチ操作で拡大・縮小する、フォントや行・文字の間隔などの文書スタイルを変更する、文字や図形などをハイライトしながら音声で読み上げるといった機能がある。

現行のデジタル教科書でも、文字色・背景色の変更、ふりがな表示、リフロー表示、音声読み上げなどができるが、中野教授は「これまでの拡大図書などのノウハウをデジタル教科書にも反映させるべき」と話した。またブラウザは異なっても同じような操作方法でアクセスできるよう、デジタル教科書の作成に際してのガイドラインの必要性を指摘した。

全国特別支援学校長会の市川裕二会長は、障害の種類ごとに求められるデジタル教科書の機能について報告した。「弱視の子供は白黒反転や文字サイズ・フォントの表示変更により、読み速度が高まる」「知的障害のある子供には国語での読み上げ・書き込み機能、算数で図形が動くなどの機能が有効」などの例を挙げた。

また外国人の子供については、浜松市の外国人児童生徒教科指導員である佐々木しのぶ氏らが報告を行った。外国人の子供たちの困難な点として佐々木氏は「教科書の漢字が読めない、単語や文節の区切りが分からず意味のまとまりがつかめない、家庭での言語が異なり、保護者のサポートが得られない」といった点を挙げた。

外国人の児童生徒が学習者用デジタル教科書を使用したところ、ふりがな表示や読み上げ機能、拡大表示、書き込み・マーキングなどの機能が学習の助けになると感じたという。

委員からは必要な機能に加え、「技術革新に伴いガイドラインを修正したり、出来上がったものがガイドラインに沿っているかをチェックしたりするため、何らかの団体を設立することも検討すべきでは」「必要な機能が多岐にわたるが、誰がどこまで負担するかという問題に直結するため、議論が必要」など、制度上の整備を求める声もあった。

次回は9月23日、デジタル教科書を使う際の健康への影響などについてヒアリングと意見交換を行う。

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