「教員自身の好奇心、大切に」 宮崎の団体が探究を議論

AIやビッグデータなどを活用して社会課題の解決を目指すSociety5.0の到来に向け、探究力の育成が期待されていることを背景に、地域の産業・人材育成などの活動を行う「こゆ地域づくり推進機構」(こゆ財団)=宮崎県児湯郡新富町=はこのほど、「しんとみ未来教育フォーラム」をオンラインで開いた。スタディサプリ教育AI研究所の小宮山利恵子所長、(一社)「みつかる+わかる」の市川力代表理事が登壇。教員自身が好奇心を持ち、五感を活用して身近な素材を見つけていく大切さを伝えた。

フォーラムで作成されたグラフィックレコーディング(こゆ財団提供、関美穂子さん作成)

小宮山所長は「AIを活用した教科学習の個別最適化が進み、授業時間数が短縮される可能性がある。空いた時間は探究型学習や生きる力を育むための学びに使うことができる」と説明。テクノロジーを活用しつつも、あえて五感を使うリアルの体験を重視している海外の学校の例を紹介した。

「これまで地方には情報が少ないと言われることもあったが、インターネットの普及で情報は得られるようになった。これからは、五感を使ったリアルの体験こそが共感力や想像力を作っていく。例えば(宮崎県)新富町はウナギの養殖や茶畑、ライチの栽培などが身近にあり、五感やリアルの体験がしやすい。このことが、これからの教育には大きな資産となるのでは」と、体験を通じた探究学習の重要性を強調した。

また市川代表理事は「AIが個別化を進めるとすれば、探究は多様化。画一的な学びを脱して、それぞれの地域で、それぞれの子供が考えることができる時代に入った」と分析。

「地域の課題やSDGsなど、子供も大人も同様の課題を持っている時代。探究とは現実社会の課題に取り組み、見えない成り行きを追い求めることに他ならない。うまく伝えて分からせる『解説』のような学びから、子供とともに動いて生み出す『発見』のような学びに変革していく必要がある」と話した。

さらに探究型学習の重要性は理解しつつも、進め方に迷う教員がいることを踏まえ、小宮山所長は「素材は完璧なものでなくてもいい。町歩きでは転がっている石や咲いている花にも気づきがある。この『気づきのかけら』をどう一緒に見つけるかだ」と話した。

現在は中学生である自身の息子が小学生の頃、学校の通学路で気付いたことについて「どんな小さなことでもよいから」と、毎日3つずつ報告させていたことも明かした。

市川代表理事は「子供たちに伴走する際の前提になるのは、自分が好奇心を発揮できるということ。教員自身が『どこに行っても(興味・関心に)引っ掛かるものがある』という姿勢を持つ伴走者であるべきで、その示し方はいろいろある」と述べた。

さらに「子供が止まっていないで何かアクションすること自体が素晴らしい。自分なりの発見を、忖度(そんたく)せず、臆せず言えることが大事で、それを引き受けるのが教員に求められる度量。予定調和のものが出てくるのは、探究の場としては望ましくない」と強調した。

主宰したこゆ財団の中山隆・教育イノベーション推進専門官は「宮崎県の先生方と話していると、伴走の仕方は多種多様で、『こうあらねばならない』というものはないと感じる。一人だけではなく、(他の人も巻き込んで)みんなでやるというのもよい」と話した。

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