GIGAスクールに個人情報保護の壁 自民が対応協議

GIGAスクール構想による児童生徒への1人1台端末の整備促進策に取り組んでいる自民党の教育再生実行本部は、8月27日に開いた会合で、事業者から寄せられた課題などについて協議した。個人情報保護を巡る地方自治体の条例や保護者の対応が、教育データの利活用など学校現場のICT導入の阻害要因となっている現状が報告され、地方議会などを通じて自治体に改善に働き掛けていく考えで一致。馳浩本部長(元文科相)は「自治体や教育委員会がどうしたらいいか分かるようなガイドラインを示していくのは、政府の責任でもある」と述べ、文科省に対応を促した。

自民党の教育再生実行本部であいさつする馳浩本部長

会合では、経産省の畠山陽二郞・商務・サービス審議官が今年度補正予算に30億円計上されたEdTech導入補助金の執行状況について、申請件数が90件で、学校などの教育機関4449校を対象に36億5000万円分に上ったことを説明。

事業者から寄せられたEdTech導入の課題として、▽学校が導入を希望しても、翌年度の予算化が不透明なことや他校との横並びを気にして、教育委員会が同意しないケースが発生▽地方自治体の個人情報保護条例やセキュリティポリシーが、クラウドサービスの活用に対応していない▽一人でも事業者への個人情報の提供を拒んだ場合、学校全体でICT活用を前提とした教育ができなくなるため、学校教育の目的の範囲内で学校が包括的に許諾を得られる制度改革が必要▽効果を発揮するため、履修主義だけでなく、到達度主義に対応できる制度的課題の克服▽補助金の終了後に備え、学校現場で保護者から集める教材費などの機動的な見直しが必要――が挙げられた。

こうした課題について、林芳正参院議員(元文科相)は「事業者が指摘している問題は、機器を普及させていくために、文科省など関係省庁が連携して、1つずつつぶしていかなければならない。自治体の条例まで文科省が変えることはできないだろうが、どうすればいいか知恵を出さなければならない」と話した。

これについて、文科省の今井裕一・初中局情報教育・外国語教育課長は、昨年12月、クラウドサービスの活用に対応して「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を改訂し、地方自治体が学校を対象とする情報セキュリティポリシーの策定や見直しを行うときに留意すべき考え方や内容を明示していることを説明した。

赤池誠章事務局長(参院議員)は「個人情報保護が大事であっても、クラウドや子供たちの学習履歴そのものが個人情報なので学校現場で使えない、という非常に変なことになりかねない」と指摘。

馳本部長は「気を付けなければいけないのは、現場の教育委員会との間で、すごく差があることだ。このギャップを埋めていかなければいけない。具体的にどうしたらいいか分かるようなガイドラインを示していくのは、政府の責任でもある。ちゃんと整備しないと、保護者会で誰かが個人情報提供に反対する論陣を張ったら、その自治体は(学校現場でのICT活用が)できなくなる」と述べた。

GIGAスクール構想では、年度内に児童生徒の1人1台端末や通信環境の整備に必要な金額が昨年度補正予算と今年度補正予算で確保されており、学校設置者である地方自治体や教育委員会による温度差がそのまま、学校のICT環境整備の遅れや地域間格差の拡大につながる状態になっている。

このため、自民党教育再生実行本部では、同党の県連や地方議員などを通じて、整備が進まない自治体の首長らに対し、9月議会で積極的な取り組みを働き掛けていく考え。パソコン端末のスペックや個人情報の取り扱いなど、地方議員が自治体に対応を確認すべき項目をまとめ、すでに県連などの地方組織に知らせている。

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