全国学力調査のCBT化 来年度から試行実施、文科相表明

全国学力・学習状況調査のCBT(コンピューター使用型調査、Computer Based Testing)による実施について、萩生田光一文科相は8月28日の閣議後会見で、来年度に小規模の試行検証を行う考えを表明した。必要な経費を来年度の概算要求に盛り込む方針。また、全国学力調査は、200万人が同時に受けるため、CBT化するとサーバーの負担が掛かるとして抽出調査への切り替えを求める意見があることについて、「悉皆(しっかい)調査でやってきたことに、大きな意味がある。サーバーが対応できないから抽出調査にするのは、本末転倒だ」と述べ、技術面の課題に対応しながら、悉皆調査を続ける考えを強調した。

全国学力調査のCBT化について説明する萩生田光一文科相

全国学力調査のCBT化については、文科省が8月26日、「全国的な学力調査に関する専門家会議」のワーキンググループで中間まとめ案を公表。今後の検討の方向性として▽児童生徒がICT機器を使い慣れているか▽問題分析や作成のための体制整備▽不具合への対応など現場の負担への配慮――などを挙げ、小規模から試行に着手し、検証を重ねて段階的に規模を拡大することが早期のCBT化の実現につながる、と指摘した。

この論点整理を受け、萩生田文科相は、CBT化を実現する道筋について、「来年度を念頭に、小規模からの試行検証に向け、必要な経費を来年度の概算要求に盛り込む予定で検討している」と述べ、来年度から試行検証に取り組む考えを表明した。

また、全国学力調査について、学校現場の負担やサーバーの対応能力など技術的な問題点から、これまでの悉皆調査から抽出調査への切り替えを求める声が根強いことについて、「抽出ではなく、悉皆でやってきたことに、大きな意味があると思うので、悉皆を続けていきたい。今年度末までに全ての小中学生に1人1台端末を整備できる見通しがついたわけだから、この環境が整った後に、CBTを活用しない手はないと思っている」と述べ、悉皆調査を続ける考えを改めて明確にした。

その上でサーバーの負担が問題になるとの指摘について、「せっかく(1人1台端末の)環境を作ったのに、サーバー対応できないから、悉皆から抽出にするのは、本末転倒だと思う。あらゆる技術を総動員して、大きなサーバーを作る手もあるが、既存のサーバーを上手に組み合わせたり、情報の集約に時間差をつけたり、いろいろな方法があるのではないか。そういうできないことを、できるようにするのが文科省の仕事だと思う」として、技術的な対応が可能との見方を示した。

悉皆調査の意義については、「例えば、同じ学校の中でも、1組と2組で結果が大きく変わることも見ることができる。そうすると指導方法の問題など、現場で活用することもできる。自治体の正解率を巡る競争みたいになってしまう一面があって、そこは望ましくないと思うが、きちんと利用すれば、教員の指導力のアップや、課題を持っている自治体や教員の早期発見にもつながる」と説明した。

全国学力調査のCBT化について、文科省は、学校現場にICT環境を浸透させる効果もあるとみている。2023年度の全国学力調査では、中学校英語で、「話すこと」調査について、初めてオンライン環境によるCBTでの実施を検討中だ。「話すこと」調査は昨年度の全国学力調査で初めてCBTで実施されたが、このときはオンライン環境が未整備だったため、端末に接続されたUSBメモリーに生徒が答えた音声を録音する形だった。

7月9日に行われた自民党教育再生実行本部の席上、矢野和彦・文科省官房審議官(初中局担当)は「デジタル環境が学校現場に浸透していくためには、(悉皆調査である)全国学力・学習状況調査のCBT化がキラーコンテンツになると考えている」と説明している。

次のニュースを読む >

関連
関連記事