不登校とオンライン授業 評価の指針求める、自民特別部会

自民党の教育再生実行本部(本部長・馳浩元文科相)は9月1日、教育の多様性を考える特別部会を開き、オンライン授業の普及による不登校の児童生徒への支援と、1人1台端末環境による個別最適な学びに向けた指導の在り方について、有識者のヒアリングを行った。席上、不登校の児童生徒に対してオンライン授業が学びの保障につながる有効なツールになっている事例が報告された。一方、オンライン授業を出席扱いとしている学校は多いのに、成績に反映している学校が少ないという実情が示され、文科省に成績評価のガイドラインを示すよう求める声が上がった。

自民党の教育再生実行本部であいさつする馳浩本部長

不登校とオンライン授業に関するヒアリングでは、クラスジャパン学園の中島武代表取締役が、児童生徒と教員がオンライン授業やチャットで行ったやりとりを記録した学習リポートを作成し、保護者経由で学校に提出している現状を説明。不登校の児童生徒に対するオンライン授業については、文科省が出席扱いするよう求めた通知を出しており、これを踏まえて多くの学校長が出席扱いとする判断をしている、と報告した。

中島氏は「オンライン授業を受けた児童生徒について、ほとんどの学校が出席扱いにしている。しかし、オンライン授業の学習成果によって、成績を付ける学校は少ない」と指摘した。

オンライン授業を評価に活用しない理由を、学校長にヒアリングしたところ、▽前例や他校利用実績の少なさによる学校側の評価の困難さ▽学校長裁量(責任)による制度利用のハードルの高さ――が挙がったと説明。これを踏まえ、中島氏は「オンライン授業の学習成果で成績を付ける学校が少ないのは、成績評価に使うためのガイドラインが整備されていないからだ」と結論付けた。

続いて、城南進学研究社の水野雅恭教育ソリューション事業部部長は、横浜市立鴨居中学校で、不登校や長期欠席傾向にある生徒を対象に、ICTを活用した学習支援の場として整備した学校内特別支援教室の実証報告を行った。学校内オルタナティブ教育と位置付けられた特別支援教室には、生徒に寄り添って学習をサポートし、教員との連絡や個別学習計画の作成、進捗(しんちょく)チェックを助ける学習支援員を配置。不登校の生徒20人のうち、8人が参加した。

水野氏は「学習支援員は生徒への声掛けが役割。教科学習はICT教材が行う。学習支援員の声掛けで、個別学習計画を立て、自分で学習できる生徒がでてきた」と説明。生徒の声として「個々での学びに出会ってから私の人生は変わりました」「自分で計画を立てられたことがうれしい」といったコメントを紹介した。

教員からは「自分のペースで学習を進めることができる環境があったことで、学校に登校することが難しい子が、定期的に登校できている」「『英語を書けるようになりたい』と自分の意思を表示できたのは、とても意味のあること」「PBLの取り組み自体はとても良いと思う一方、それが原因でまた休みがちになってしまわないか、不安や心配もある」などのコメントがあったと報告した。

同席した齋藤浩司・鴨居中学校校長は、特別支援教室の実証報告について、「現場の教員は、日々、担任として生徒一人一人を思っている。その中で、この取り組みで得られたことは、いろいろな子供がいて、それぞれ個別の履歴があり、学習に望みがあることが分かった、ということ。出席確認も、下校もばらばらになる。そうした一人一人に細やかに目が行き届かせる、そういう習慣が学校全体にできてきた」と話した。

1人1台端末環境による個別最適な学びに向けた指導の在り方については、堀田龍也東北大大学院教授がWEB経由で報告した。堀田教授はまず、「長期休校していた学校が再開され、対面授業ができるようになると、オンライン授業が忘れられてしまう。同時双方向のオンライン授業に必要な環境整備は進まず、学校現場や教委への不信感が募っているのが、社会の現状だと思う」と、学校現場と社会全体のギャップを指摘。

「今後はオンデマンド学習が非常に大切になる。対面授業とオンラインは二項対立ではない。教員は一人一人の子供をみることが大切な役割となり、オンラインに任せた方がいい部分はオンラインを活用するのがいい」と続けた。また、「先端技術はクラウドでサービスされる」として、一部の学校現場や地方自治体でクラウドの利用が禁止されている現状の改善が必要だと訴えた。

渡海紀三朗衆院議員(元文科相)は、不登校とオンライン授業について、「フリースクールやオンライン授業が(不登校の児童生徒を)カバーしていることは理解している。しかし、子供たちが元の学校に戻るプログラムはちゃんと組み込まれているのか」と疑問を投げ掛けた。

これに対し、クラスジャパン学園の中島氏は「不登校の児童生徒は増え続けている。これまでの経験から、『戻れるなら、学校に戻ろう。急がなくてもいいから』という声掛けが、一番効果があると考えている。オンラインで授業をしていても、『学校は必要ではない』というスタンスには立っていない」と答えた。

鴨居中学校の齋藤校長は「学校に戻すにはまだ至っていないとしても、鴨居中学校の生徒には、世界中どこにいても、鴨居中学校の生徒だと言っている」と話した。

最後にあいさつした馳本部長は「不登校の児童生徒に対する支援を考えたとき、ICTを使った授業で評価もできるし、(対面授業とオンラインによる)ハイブリッド型で評価することもできる。できるのに、やろうとしない文科省であってはいけないのではないか。『やります』という方向性は中教審の方向性でもある。それなのに、文科省はいつまでやらないのか」と述べ、文科省に対応を求めた。

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