つながり続ける大切さ コロナ危機でも奮闘するこども食堂

新型コロナウイルスによる影響で3密を回避しながらの子供の居場所づくりや貧困問題への取り組みが課題となる中、埼玉県主催の「こども食堂フォーラム」が8月27日、さいたま市内で開かれ、一斉休校期間中のこども食堂やフードパントリーの“奮闘”が報告された。基調講演で登壇した全国こども食堂支援センター・むすびえの湯浅誠理事長は、弁当配布など、3密を避けながらも活動を継続したこども食堂が多数あったことを紹介し、アフターコロナを見据え、つながり続けることの大切さを強調した。

つながり続ける活動を展開したこども食堂の意義を語る湯浅理事長

「むすびえ」によると、昨年にこども食堂は全国で3718カ所にまで広がり、地域の中で子供を中心とした多世代交流の居場所として重要性を増している。しかし、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言を受けて、多くの人が密集してしまうこども食堂の大半は休止を余儀なくされた。

湯浅理事長は、そうした厳しい状況下にありながらも、企業や農家などから提供された食料品を経済的に厳しい子育て世帯などに配布するフードパントリーや、弁当の提供を始めたこども食堂が多くあったことに注目。「居場所をつくって交流するのがこども食堂の目的だが、それができないのだから休止にしても何の問題もなかったはずだ。しかし、こども食堂はつながり続けることを優先した。これによって、こども食堂は家族や友人に類する存在だということがはっきりした。それがとても世の中に大きなインパクトを持った」と高く評価した。

その上で、こども食堂が普段から地域で支援を必要としている人とのつながりをつくり、今回の新型コロナウイルスや大規模災害などの危機が訪れたときには、そうした人たちを困窮や孤立から救い出す役割を果たしていると指摘。地域社会を支える潜在力を示したと参加者を勇気付けた。

続くパネルディスカッションでは、埼玉県内で子供の居場所づくりに取り組む関係者らが登壇。「埼玉県子ども食堂ネットワーク」の本間香代表は、新型コロナウイルスによってこども食堂としての活動ができなくなった県内の団体が連携して、フードパントリーや弁当の提供を始めた事例を紹介。緊急事態宣言が解除され、少しずつ本来のこども食堂としての活動を再開しつつある状況を踏まえ、本間代表は「コロナを契機に、ひとり親家庭や多子家庭がこども食堂に多く来てくれるようになった。食材を配ったときに、『お肉なんて何カ月も食べてなかったね』と涙を流しながら子供と喜ぶお母さんの姿が目に焼き付いている。埼玉県は外国籍の家族も多い。そんな人たちに届くように、これからも絆を広げていきたい」と語った。

フードパントリーや子供の学習支援などに取り組んでいる「埼玉フードパントリーネットワーク」の草場澄江代表は、こども食堂では本当に支援の必要な深刻な貧困状態にある家庭が来てくれるとは限らないと指摘した上で、フードパントリーがそうした家庭のニーズに合致し、直接つながることができるメリットがあると説明した。草場代表は「『収入がなくなり電気代が払えない。あるものでいいからもらえないか』とSOSを発してくれる人たちがいる。こういう関係になれたことがうれしい。日ごろからつながっているからこそ、大変な状態になったときに『助けて』と声を上げてくれる。それぞれの家庭が抱えている課題は違う。その課題と向き合いながら、新しい活動を模索していきたい」と話した。

廃材などを利用して子供たちが自由に遊べる広場であるプレーパークを運営する「埼玉冒険遊び場づくり連絡協議会」の佐藤美和代表は「子供たちと接していて、6月ごろは再会を喜んでいたが、1カ月くらい過ぎてから、けんかや破壊行動が増えてきた。学校も新しい生活様式を強いられ、ますます子供の生活がやらなければいけないことや、やってはいけないことでストレスになっている」と子供たちの様子を指摘した。

その上で「一つの団体では限界がある。例えば学習支援が必要な子供たちがいると分かっていても、自分たちではできないというときに、横でつながることができれば支援の幅も広がる。一人の子供をいろんな面でサポートできる」と、さまざまな団体が連携して子供の支援を展開していく重要性を訴えた。


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