中高生にチャレンジの大切さ語る 柔道家の井上康生さん

自分で変えられることを一つずつ積み上げていきながら進んでいこう――。世界で活躍するアスリートらが、自身の経験から得たものを若い世代に伝えるオンラインスクール「HEROs LAB」(日本財団主催)に9月1日、柔道日本代表監督の井上康生さんが出演し、参加した中高生や大学生の声に耳を傾けながら、夢や目標に向かってチャレンジすることの大切さを語り掛けた。

中高生と新しいチャレンジについて語り合う井上さん(Zoomで取材)

2000年のシドニーオリンピックで金メダルに輝いた井上さんは、柔道家であった父親の影響もあり、小学5年生のころから柔道で金メダルを取ることを目標に練習を重ねてきた。しかし、大学生のころにスランプに陥り、努力しても勝てなくなって、柔道の楽しさを感じられなくなったことがあったという。

そうしたところに母親が亡くなり、母親が生前にしたためたものの、井上さんに出せなかった手紙を父親から渡された。「初心に戻って頑張りなさい」と書かれたその手紙をヒントに、井上さんは自分の柔道人生の原点を見つめ直したところ、見違えるように自分自身の柔道が変わっていき、その後の世界選手権の優勝やオリンピックでの金メダルにつながったという。

当時を振り返って井上さんは「失敗や挫折の後に、自分自身が成長したと感じるときがある。人生の中で順風満帆な人はいない。成功している人とは、挫折や苦悩をどう乗り越えていけるかを考えている人だ。挫折や苦悩をただマイナスに捉えるのではなく、大きな成長の壁なのだと考え、より成長できることをイメージして乗り越えることが大切だ」とアドバイスした。

さらに「留学を考えているが、不安が大きく周囲の人に打ち明けられない」との参加者の相談に対して、井上さんは現役引退後に英国に留学した際のエピソードを披露。

「英語で話せないことに、本当に机に頭を打ち付けるくらい悩んでいた。でも、その留学には宝が眠っていて、人間としての幅を広げてくれた。『柔道でチャンピオンになったのだからすごい』という感覚が自分の中にあり、それを打ち砕いてくれた。世界は広いし、まだまだ学べるものがたくさんあるんだと分かった」と背中を押した。

また、「新型コロナウイルスの影響で部活動の大会が中止となってしまった」と打ち明けた参加者には、「言葉にならないくらいショックが大きいと思う。新型コロナウイルスは、人の力でどうにかして変えられるものではない。それを受け止めて、次のステージでどう生かしていくかを考えていこう。どうしたらこれまでの努力が示され、希望を持てるようになるか。その環境を私たちも真剣に考えないといけない。今、苦しんでいるものをエネルギーにして、より一層飛躍してもらいたい」と励ました。

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