日本の子供の幸福度 身体的健康1位でも総合20位

日本の子供のいびつな幸福度が浮き彫りに――。ユニセフ(国連児童基金)は9月3日、先進国の子供の状況をさまざまなデータに基づきランキングした報告書『レポートカード16』を公表した。日本の子供の幸福度は38カ国中20位だった。日本は幸福度を測る3分野のうち、「身体的健康」で1位だったものの、「精神的幸福度」は37位、「スキル」は27位と大きなばらつきが見られた。

分析を行ったユニセフの研究機関であるイノチェンティ研究所は、子供の幸福度を「精神的幸福度」と「身体的健康」「スキル」の3分野で比較し、ランキングにした。

先進国における子供の幸福度

日本の場合、「身体的健康」では、2018年の「5~14歳の子供の死亡率」と、16年の「過体重または肥満である5~19歳の子供と若者の割合」共に平均を下回り、特に後者では1位で、2位のエストニアと比べても圧倒的に低かった。

この結果について、報告書を執筆した同研究所社会・経済・政策コンサルタントのアナ・グロマダ氏は「日本は効率的な医療健康システムを持っており、子供の死亡率が低く、事故も少ない。全ての先進国で肥満が増えている中で、2位のエストニアと比べても圧倒的に低いのは独特だ。日本食や生活習慣が影響しているのかもしれない。各国は日本からすぐにでも学ばないといけない」と評価した。

一方で、「精神的幸福度」で、日本は18年の「15歳時点で生活満足度の高い子供の割合」は62.2%で、1位のオランダと比べると27.6ポイント、平均と比べても13.5ポイント低かった。また、13~15年の10万人当たりの「15~19歳の若者の自殺率」も平均より高かった。

さらに、「スキル」では、18年の「OECD(経済協力開発機構)の生徒の学習到達度調査(PISA)の読解力・数学分野で基礎的習熟度に達している15歳の生徒の割合」(学力的スキル)は平均を10.6ポイント上回る72.9%だったものの、18年の「『すぐに友達ができる』と答えた15歳の生徒の割合」(社会的スキル)は69.1%で、1位のルーマニアと比べて13.6ポイント、平均と比べても6.4ポイント低かった。

報告書を執筆したイノチェンティ研究所のグロマダ氏(Zoomで取材)

グロマダ氏は「頻繁にいじめられている子供の方が、生活満足度が低い傾向にある。日本の子供の生活満足度が下位にあることから、頻繁にいじめに遭っている子供はさらに生活満足度が低くなっている」と警鐘を鳴らした。

これらの結果について、記者向けの説明会に同席した教育評論家の尾木直樹氏は「学校は安心安全な場所であるべきで、日本はいじめ問題に早急に取り組むべきだ。構造的な解決の道を探る必要がある」と述べた。

2000年から年に1冊のペースで発行されている『レポートカード』は、先進国の子供の状況をさまざまなデータから比較・分析しているもの。レポートカードには通信簿という意味がある。

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