【少人数学級】感染対策は容易に、学力影響なし OECD

新型コロナウイルスの感染対策やきめ細かな指導のため、実現に向けた議論が進みつつある少人数学級について、経済協力開発機構(OECD)のマリーヘレン・ドュメ教育・スキル局シニアアナリストは9月8日の記者説明会で、「学級規模が小さな国は、(感染対策として)十分安全な距離を取るための規制を守りやすくなる」と指摘した。一方で「学習の成果には影響がなく、理想的な学級規模についての具体的な基準はない」とも述べた。

学校段階別にみた学級の平均規模(2018年、『図表でみる教育2020年版(Education at a Glance 2020)』より)

OECDが同日発表した報告書『図表でみる教育2020年版(Education at a Glance 2020)』では、新型コロナウイルスによる休校を解除するに当たり、距離の確保の観点から学級規模が一つの重要なテーマになったと指摘。2018年のデータ=図表=によれば、OECD諸国の平均は初等教育段階で21.11人、前期中等教育段階で23.30人となっている。

その中で日本は初等教育段階で平均27.20人、前期中等教育段階で同32.11人となり、同報告書では「学級規模は学校段階とともに拡大する傾向がある。チリ、コロンビア、日本などでは、中等教育段階で学級に約30人の生徒がおり、小さなグループに再編して安全な距離を維持することが難しい」と分析している。

ただ、少人数学級による教育成果について、ドュメ氏は「OECDの研究では、学級規模による学習の成果への影響はないことが分かっている。このことは(学級規模が大きい)日本が、生徒の学習到達度調査(PISA)で高い成績を収めていることからも分かる。むしろ教員の訓練や質の方が、子供の学習の質に大きな影響を与える」と話した。

また「ハンディキャップのある子供や恵まれない環境にある子供にとっては、追加的な支援として学級規模が影響をもたらすことはあるが、あくまでも対象者を絞った措置だ」と指摘。さらに「学級規模を小さくすると、より多くの教員が必要になることから財政に与える影響が大きく、コスト負担に関する議論が必要になる」とも述べた。

8日に行われた政府の教育再生実行会議(議長・安倍晋三首相)の初等中等教育ワーキング・グループ(WG)では、来年度から段階的に少人数学級の実現に取り組む方針を示し、「少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備や、関連する施設設備などの環境整備を進める方向で、当WGで議論する」との内容を合意文書に盛り込んだ。

同WGの佃和夫主査(三菱重工業特別顧問)によれば、有識者からは「児童生徒の多様性が増す中、きめ細かな対応のためOECD並みの教員と教室の確保、財政措置が必要」とする意見が出されたという。また、少人数学級の教育効果を検証するためのエビデンス(根拠)の取得を訴える声もあった。

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