GIGAスクール端末、年度内整備99.6% 名古屋市など除く

GIGAスクール構想による全国の小中学校への1人1台端末について、文科省は9月11日、8月末時点の地方自治体の調達状況に関する調査結果を公表した。それによると、今年度末となる来年3月末までに納品が完了する自治体は、集計対象となった1811自治体のうち1804自治体となり、全体の99.6%に上る。一方、名古屋市など7自治体が計画的な整備などを理由に、年度末までに納品が完了する見通しが立っていないことが分かった。

調査結果によると、端末の購入に必要な関連経費の議会承認は、8月末までに全体の71.2%に当たる1289自治体が承認済みで、未承認の自治体のほとんどが9月議会で承認を予定している。

端末整備は、議会承認を受けた後、各自治体が調達を公示、事業者の選定を経て、端末の納入完了となる。納入完了の時期を調べたところ、8月末までに納品済みの自治体は37で全体の2.0%にとどまるが、年内に納品完了を予定する自治体は496で同じく27.4%、年度内に納品完了を予定する自治体は1271で、同じく70.2%となった。これらを合計すると、年度末までに納品が完了する自治体は1804となり、全体の99.6%を占めている=表参照。

これに対し、年度末までに納品が完了する見通しが立っていない自治体は、▽岩手県田野畑村▽福島県会津若松市▽愛知県名古屋市▽三重県菰野町▽島根県雲南市▽山口県岩国市▽沖縄県北大東村――の7市町村だった。文科省によると、これらの自治体は「すでに計画的に進めており、国からの補助金が出ても自治体負担もあるので、計画通り来年度以降に整備したい」などと説明している。

名古屋市などの大都市圏を含めた7自治体で年度末までに納品が完了する見通しが立っていない状況について、今井裕一・文科省初等中等教育局情報教育・外国語教育課長は「年度末の1人1台端末の整備というGIGAスクール構想の政策目標が、実現できているとは言えないと思っている。ここまできたのであれば、あと一歩、国と自治体が知恵を出していきたい」と述べた。

また、今井課長は、当面の課題として▽端末の納入時期について、年度末まで延ばすのではなく、できるだけ早く納入を完了させるよう促す▽新型コロナウイルスの感染状況など、何が起こるか分からない状況が続いているので、端末のない家庭には手厚く対応する――の2点を指摘。

これに対応するため、(1)これまで自治体の要請を受けて活動していた文科省のICT活用教育アドバイザーについて、アドバイザー側から困っている自治体にアプローチするプッシュ型の取り組みを行う(2)自治体に端末整備の加速を促すため、自治体が地元の業者だけでなく、OS3社と直接対応できる窓口を整備し、キッティング(初期設定)作業の効率化などを図る(3)OS3社などと協力して、事業者に納品の加速を促す(4)学校の備品であるパソコンの家庭貸し出しをためらう例があるため、貸し出すために必要な考え方を整理して自治体に提示する――の4点に取り組む考えを示した。

端末の調達状況を説明する今井裕一・文科省初等中等教育局情報教育・外国語教育課長

GIGAスクール構想の実現に向けた最初の関門とされた端末の整備は、来年3月末までに多くの自治体で達成される見通しとなった。しかしながら、実際に小中学校の授業で1人1台端末が文房具のように使われていくためには、ネットワークの整備や家庭間のデジタル格差への対応、個人情報保護などセキュリティーに対する考え方の整理、デジタル機器に対する教員の習熟と授業での活用法など、さまざまな課題が残されている。自治体間の温度差も解消されていない。

来年4月に全国の小中学生に「1人1台時代」がやってくるイメージについて、今井課長は「いま全力を挙げているのは、家庭と学校をつなぐことを含めて、とにかく1人1台端末を子供たちに急いで届けたいということ。GIGAスクールはそもそも教育の質を高め、世界的にみて遅れている日本の学校のICT環境を改善することが狙い。だが、来年4月からピカピカに新しい世界が始まるわけではない。少なくとも1人1台の端末をきちんとそろえて、みんなで知恵を絞りながら前に進んでいくことになる」と話した。

次のニュースを読む >

関連
関連記事