新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、大学で対面授業やキャンパスへの立ち入りが制限されたことを巡り、文科省は9月15日、大学などを対象とした今年度後期の授業の実施方針に関する調査結果を公表した。
それによると8割が対面・オンライン授業を併用、2割弱が全面対面で行うと回答し、併用する大学では約6割が授業の半分以上を対面で行うとした。文科省は大学に向け、対面授業の積極的な検討を促す通知を15日に発出した。
今回の調査では、通信制課程のみの大学を除く、全ての大学・短大・高専1060校を対象とし、8月25日から9月11日にかけて、9月後半以降に開始する後期の授業をどのように実施する予定かを調べた。
7月1日時点で行った同様の調査では、「全面的に遠隔で行っている」とした大学が約2割あったが、後期も「全面的に遠隔」と決めているのは、多くの学生が寮生活をしていて感染リスクが高いなどの事情がある大学1校のみだった。
また後期は約6割の大学で、ほぼ全ての学生が週に2日以上はキャンパスに通えると回答したほか、全ての大学で施設利用も可能となる。対面・オンライン授業の併用に当たっては、実験・実技・実習や少人数のゼミナールにおいて対面を行う大学が多かった。一方、多人数の授業は遠隔とする大学も約3割あった。
大学によっては、「指導上の必要性や学生からの要望を踏まえ、優先順位を設けて対面授業を順次実施している」(東京藝術大)、「大学の学修に慣れない1年生が履修する科目について、優先的に対面授業を実施している」(高知工科大)、「1年生向けにオンラインでの交流機会を設けたり、感染対策の上で交流イベントを実施したりしている」(宮城大学)といった工夫や配慮を行っていた。
さらに、不安や困難を抱える学生をケアするため、学生向けに相談窓口を設置している大学は9割以上、カウンセラーや医師など専門家と連携している大学も8割以上に上った。
文科省高等教育局高等教育企画課の淵上孝課長は「学生同士や先生との交流も、教育においては重要な要素。感染防止のための対策は大事だが、対面による授業についても可能なものについては検討いただきたい」とした。
萩生田光一文科相は15日の閣議後会見で、「コロナ禍にあっても質の高い学修機会を確保するのは、大学など高等教育機関の使命。大学での学修に慣れていない新入生も含め、学生が納得する対応・工夫をしっかり講じていくことが、今まさに求められている」と強調した。