少人数学級の効果「総合的に検証を」 教育研究者ら要望

新型コロナウイルスの感染対策をしながらの学校運営には、少人数学級の実現が必要だとして、全国に署名を呼び掛けてきた教育研究者らは9月17日、集まった署名を文科省に、要請書を財務省に提出した。また同日、参議院議員会館で開いた院内集会では、少人数学級の効果については学力だけでなく、より総合的な面からエビデンス(根拠)を検証するよう求めたほか、教員確保など実現に向けた方策についても言及した。

院内集会で少人数学級の実現に向けた方策などについて説明する東京大学の本田由紀教授(オンラインで取材)

教育研究者らが7月から署名を呼び掛けてきた、身体的距離が保たれ子供への目が届きやすい少人数学級や、授業を詰め込みすぎない豊かな学校生活を求める署名には15万424筆が集まった。また、インターネット署名サイトでも2万4986人の賛同を得た。

少人数学級は、その成果を裏付けるエビデンスが十分でないと指摘されることもあるのを踏まえ、院内集会では近年の研究について紹介。「特に社会経済的背景が不利な生徒が多い学校において、少人数学級は学力を高める効果をもっている」とする研究を紹介し、家庭背景を含めた分析が必要であると訴えた。

何をもって少人数学級の効果とするかについても、学力の向上だけでなく、児童生徒の学校生活や気持ちの総合的な「良さ」を効果とみなす必要があるとして、署名の呼び掛け人の一人・東京大学の本田由紀教授は「教員と生徒、生徒同士の関係や、生徒が落ち着いて学ぶことができるなど、包括的な内容を効果とみなした研究はまだ十分でない」と指摘した。

また、実現に向けて教員の確保が課題となることから、法改正により基礎定数を改善した上で、教員免許を取得したものの採用に至らなかった就職氷河期世代、教員免許の更新をせず失効した者、再任用など、さまざまな候補者を視野に入れる必要があるとした。

教育研究者らは全国の教員からの「教師の絶対的な業務量が増え、一人一人の子供たちをきめ細やかに見ることができない」(和歌山)、「多様な特性を持つ子供が共に学ぶインクルーシブ教育の実現にも、少人数学級の実現が必須」(東京)、「分散登校では、子供たちは非常に落ち着いて学習できていたし、登校を渋っていた児童も安心した表情で学校生活を送っていた」(東京)といった声を取り上げ、多様な観点から少人数学級の実現を訴えた。

教育研究者らがまとめた「少人数学級実現の方策」は次の通り。

【教育研究者らがまとめた「少人数学級実現の方策」】
①義務標準法・高校標準法の改正(今年度中)
    • 基礎定数を改善し、非正規雇用の教員に頼らない少人数学級の実現。
②段階的実現の計画策定
    • 正規の教員養成制度(大学・大学院)で教員免許を獲得した教員による少人数学級実現。
    • 少子化による教員需要減を活かした教員数の増員。
    • 教員不足の実態を国レベルで調査し、実態に即した教員増員の年次計画の作成。
③義務標準法改正に伴う改善措置(次年度から)
    • 学校内人員配置を自由に行える権限を学校長に認め、可能な学校から30人学級、もしくは25人学級を実現(次年度から)。
    • 中年層の免許取得者が教職に就きやすくする採用制度の実現。
    • 教員免許更新制度によって免許が失効した人への免許復活制の積極的活用。
    • 再任用希望者が増えるよう、再任用教員の待遇を改善。
    • 教職を志す人が増えるよう、教職の待遇を改善。
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