学習履歴や学校健診、マイナンバーカード活用を検討 文科相

菅義偉首相が行政のデジタル化に向けてマイナンバーカードの活用を強く打ち出したことを受け、萩生田光一文科相は9月18日の閣議後会見で、GIGAスクール構想で利活用が注目されている学習履歴(スタディ・ログ)や、学校の健康診断で把握した児童生徒の健診データに、マイナンバーカードの活用を検討していく考えを表明した。いずれもデータを記録したり閲覧したりする際の本人確認のツールとして、マイナンバーカードを使うことが想定される。学校現場にはデジタル化の推進に伴って個人情報の取り扱いを懸念する声が強く、こうした不安感をどう拭い去っていくかが学校現場でのマイナンバーカードの活用を進める上での鍵となりそうだ。

記者会見する萩生田光一文科相

萩生田文科相は、まず、「児童生徒が進学しても、学校生活のさまざまな情報を引き継いでいくことは、成長の過程で大事だと思う」と述べ、GIGAスクール構想が今後、学校現場に浸透していく中で、デジタル化された児童生徒の履歴情報が、進級や進学を経ても継承されていくべきだとの基本的な認識を示した。

その上で、学校現場のマイナンバーカードの活用について、「児童生徒の進学にあたって、例えば、成績情報や学習記録などの教育に関する情報の引き継ぎなどに、マイナンバーカードのICチップを活用することは考えられる。マイナンバーカードの普及を見据え、その活用方法や可能性について検討を行いたい」と説明。ICT機器を使った学習によって蓄積されていく、児童生徒一人一人の学習履歴(スタディ・ログ)を活用するときに必要な本人確認のツールとして、マイナンバーカードのICチップの活用を検討する考えを明らかにした。

また、学校の健康診断については、「政府全体で進めているPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)構想の一環として、マイナンバーカードを活用し、マイナポータルを通じて、乳幼児健診をはじめとする他の健診情報と一貫性をもって、生涯にわたる健康情報を閲覧できるようにする方向で検討が進められている」と述べ、マイナンバーカードによる学校健診データの管理に向けて検討を進める考えを示した。

PHRは、国民一人一人が自分の医療・健康情報を一覧でき、本人の意思で医療機関に提供して活用することなどを想定した仕組み。厚労省が所管する妊婦健診や乳幼児健診ではマイナンバーカードを使ったデータ管理が実用化されつつあるが、それに続く小学校入学後の健診データは各自治体や学校が独自に保管しているケースが多く、乳幼児健診と学校健診の接続が課題となっている。政府は、経済社会政策の運営方針を示す「経済財政運営と改革の基本方針2020」(骨太の方針)で、マイナンバーカードによるPHRの管理について、2022年をめどに実現を目指す方針を明記しており、学校健診の対応が待たれている状況だ。

これについて、文科省の担当者は「学校健診のデータは、7割程度の自治体ですでにデジタル化されている。ただ、健診データは個人情報なので、セキュリティー面などを懸念してマイナンバーカードの活用に慎重な姿勢をとる自治体が多い」と話す。

萩生田文科相は、今後の取り組みについて、「マイナンバーカードがどういう活用ができるのか。そのために国民がどういうことを懸念しているのか。政府全体で有効な使い方を考えていきたい。例えば、学校現場や就学前の子供たちの健康管理を継続的に検証していくことを含めて、マイナンバーカードの可能性はしっかり議論したい」と話した。

マイナンバーカードの活用については、菅首相が9月17日夜の首相就任会見で「行政のデジタル化の鍵はマイナンバーカード」と述べ、デジタル庁を新設するとともに、菅政権の優先課題に掲げている。

次のニュースを読む >

関連

あなたへのお薦め

 
特集