少人数学級「真正面から」予算要求 文科相、首相了解を説明

少人数学級の実現に向けた政策論議を進めている政府の教育再生実行会議について、菅義偉首相は9月18日、安倍晋三内閣から引き継いでそのまま存続させ、少人数学級を巡る取り組みを進めることを了解した。萩生田光一文科相が同日午後の閣議後会見で明らかにした。菅首相はこれまでの議論を継続するとともに、幼少期から高等教育、および科学技術の研究に係るデジタル技術の在り方について議論を深めるよう指示した。これを受け、萩生田文科相は「物理的に安心安全な学校を作っていくために、少人数学級は必要だ。財政当局にも必要性を真正面から訴え、実現に向けて努力したい」と述べ、今月末に迫った来年度予算概算要求に少人数学級の必要経費を盛り込む考えを改めて表明した。

教育再生実行会議の継続について説明する萩生田光一文科相

萩生田文科相によると、同日午後、菅首相に「教育再生実行会議をそのまま存続させ、議論を継続したい」と申し入れ、了解を得た。首相は、教育再生実行会議で現在議論している、初等中等教育でのポストコロナの学校の在り方や、高等教育における9月入学(秋季入学)など学期の問題に加え、「デジタル庁の設置を前提に、幼少期から高等教育、ならびに科学技術の研究に係るデジタル技術の在り方について、旗を掲げて深く議論をしてほしい」と指示した。

少人数学級の実現については、萩生田文科相から検討状況を説明したところ、菅首相は「ぜひ進めてくれ」と言明した、という。

菅首相の指示を受け、教育再生実行会議では、現在設置されている初等中等教育と高等教育の2つのワーキング・グループ(WG)に加え、デジタルに特化したワーキング・グループの設置を検討する。

萩生田文科相は、少人数学級の来年度予算概算要求に向けた対応について、新型コロナウイルス感染症の経験を振り返り、「今後同じような新たな感染症が発症した時には、一定のソーシャルディスタンスを取れない学校現場では、休校を選択せざるを得ない。令和の新しい学校は、40人の教室はちょっと限界があるんじゃないか」と指摘。

「方法は2つある。教室を広くするか、児童生徒の数を少なくするか。ICT教育を加えることを考えると、一人の先生がみる児童生徒の数は少ない方が効果があるのだと思う。ただ、ここは専門家でも意見が分かれるところ」と説明。予算要求の段階で、少人数学級の学習効果を巡るエビデンスの議論には踏み込まない考えを示唆した。

その上で、「物理的に安心安全な学校を作っていくためには、少人数学級は必要だと思う」と述べ、感染症リスクを回避するために実現を目指す考えを強調した。

少人数学級の実現には、一般的に児童生徒と教員の比率(student teacher ratio)の改善が必要とされ、教員の人数を増やす加配が予算編成上の焦点になる。

この点について、萩生田文科相は「(少人数学級の実現には)教員の数を増やしていくという実態があるけれども、(児童生徒には)18歳人口と0歳人口が40万人も違うぐらい自然減がある。児童生徒が減っていく中で、クラスの数がある程度増えたとしても、教員の数はそんなに大きく変わらないのではないか」と指摘。

さらに「デジタル技術を導入することで、もしかしたら逆に、集中的に授業ができるようなことがあれば、教員の負担を軽減することになると思う」と、授業のデジタル化による影響を加味する必要を挙げた。

こうした予算編成に向けた考え方を説明した上で、萩生田文科相は「財政当局ともしっかり議論しながら、(少人数学級の)必要性を真正面から訴え、実現に向けて努力したいと思っている」と言葉を結んだ。

教育再生実行会議は、2013年に安倍政権下で閣議決定によって設置された会議。事務局は内閣官房に置かれている。法律的な裏付けがないため、菅内閣が会議を引き継ぐためには閣議決定が必要になるとみられる。実行会議では、これまでの協議の席上、委員から「少人数学級を進め、30人未満の学級にしてほしい」との意見が支持されるなど、少人数学級の実現に取り組む考えで一致。9月8日には来年度予算編成の過程で「丁寧に検討すること」を求めた合意文書をまとめている。

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