菅首相「デジタル教育などの規制緩和」を指示 閣僚会議

菅義偉首相は9月23日、全閣僚によるデジタル改革関係閣僚会議の初会合で、政権の看板政策である「デジタル庁」の創設について、「年末には基本方針を定め、(来年1月に召集する)次の通常国会に必要な法案を提出したい」と表明。「国民が当たり前に望んでいるサービスを実現」するとして、教育分野では「デジタル教育などの規制緩和」の推進を指示した。閣僚会議では、デジタル化への課題として「オンライン教育に必要な基盤、ノウハウの不足」が指摘され、喫緊に取り組むべき事項として「臨時措置として取り入れた、テレワーク、学校、医療などのオンライン化を、後退させることなく定着・拡充させていく」ことが確認された。

デジタル改革関係閣僚会議で発言する菅義偉首相(左)=首相官邸のホームページから

閣僚会議では、平井卓也デジタル改革担当相が、新型コロナウイルスの感染拡大で浮き彫りになったデジタル化への課題について、経済・生活、行政、働き方、医療、教育、防災の6分野に分けて報告。このうち、教育分野では、全国的な学校の臨時休校と、それに伴って登校できない児童生徒の学習指導の必要性が顕在化したことを指摘し、「オンライン教育に必要な基盤、ノウハウの不足」を課題として挙げた。

その上で、こうした課題への対応のため、喫緊に取り組むべき事項として、▽デジタル社会のパスポートたる「マイナンバーカード」のさらなる活用▽迅速な給付の実現▽コロナ禍での臨時措置の定着・拡充▽国と地方を通じたデジタル基盤の構築――の4項目を挙げた。このうち、「コロナ禍での臨時措置の定着・拡充」では、具体的な内容として「臨時措置として取り入れた、テレワーク、学校、医療などのオンライン化を、後退させることなく定着・拡充させていく」と説明した。

こうした事項に取り組むため、平井担当相は「多様な人材を集め、従来の役所とは一線を画した次のデジタル社会をリードする強い組織を立ち上げることが必要」と指摘し、デジタル庁の創設に向け、全閣僚の協力を求めた。

続いて、各閣僚が各省庁の抱えているデジタル化への取り組みや課題を報告。内閣府担当者によると、萩生田光一文科相は「GIGAスクール構想、高速通信インフラ『SINET』の有効活用を含めた基盤整備、スパコン『富岳』など先端科学技術の推進を図る」と説明した。

菅首相は「この政権においては、これらの課題を根本的に解決するため、行政の縦割りを打破し、大胆に規制改革を断行する。そのための突破口として、デジタル庁の創設はまったなしである」と強調。

デジタル庁の創設によって取り組む施策として「国、自治体のシステムの統一・標準化を行うこと。マイナンバーカードの普及促進を一気呵成(かせい)に進め、各種給付の迅速化やスマホによる行政手続きのオンライン化を行うこと。民間や準公共部門のデジタル化を支援するとともに、オンライン診療やデジタル教育などの規制緩和を行うこと」を列挙。「国民が当たり前に望んでいるサービスを実現し、デジタル化の利便性を実感できる社会をつくっていきたい」と述べ、創設の目的を明確にした。

こうした目的を果たすため、「デジタル庁は、強力な司令塔機能を有し、官民を問わず能力の高い人材が集まり、社会全体のデジタル化をリードする強力な組織とする必要がある」とデジタル庁創設の必要性を強調。今後のスケジュールについて「検討を加速し、年末には基本方針を定め、(来年1月に召集する)次の通常国会に必要な法案を提出したい」と述べ、全閣僚に協力を指示した。同時に、デジタル分野の重要法案であるIT基本法の抜本改正も行う考えを表明した。

会議終了後、平井担当相は記者団に対し、菅首相が次の通常国会にデジタル庁創設の関連法案を提出する考えを示したことを受け、今月末までにデジタル庁の設置準備室を立ち上げる方針を明らかにした。

菅首相がデジタル庁の創設によって取り組む施策として挙げた「デジタル教育などの規制緩和」の具体的な内容は明らかにされていない。しかしながら、政府は7月17日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2020」(骨太の方針)で、高校・大学の遠隔教育について、「単位上限ルールなどの見直しを検討する」と明記。義務教育段階の小学校や中学校については、「遠隔教育・デジタル教材活用を促進する」と同時に、「デジタル教科書が使用できる、授業時数の基準の緩和を検討する」としている。

文科省によると、高校では2015年4月から、同時双方向型の遠隔授業について、全課程の修了要件である74単位のうち36単位までを上限として実施することが可能。骨太の方針は、この単位上限ルールの見直しを想定している。

また、マイナンバーカードの活用については、萩生田文科相は9月18日の閣議後会見で、GIGAスクール構想で利活用が注目されている学習履歴(スタディ・ログ)や、学校の健康診断で把握した児童生徒の健診データに、マイナンバーカードの活用を検討していく考えを示している。

次のニュースを読む >

関連
関連記事