デジタル教科書「視力低下に注意」 文科省検討会議

1人1台端末の整備に伴い本格導入が検討されている学習者用デジタル教科書について、文科省は9月23日、検討会議の第4回会合を開いた。今回は、児童生徒がデジタル教科書を利用する際の健康面への影響が議題に上り、「各教科の授業時数の2分の1未満」としている現行の基準を緩和した場合、懸念される影響や対策などを話し合った。

図表:文科省が公開しているガイドブック

会合で報告した日本眼科学会の不二門(ふじかど)尚評議員は、コロナ禍で子供の屋外活動が減り、デジタル端末の使用時間が増えたことで子供の近視が加速した可能性があるという研究に触れ、注意を呼び掛けた。

デジタル端末を使用するに当たっては、文科省のガイドブック=図表=を踏まえ、「良い姿勢で視距離を保ち、画面への映り込みを防止することに尽きる」と強調。「授業時間の2分の1以上をデジタル端末で行う場合は、30分に1回程度、20秒ほど画面から目を離して目を休めることが望まれる」と述べた。

また東京福祉大学の柴田隆史教授は「授業では、近距離の画面を長時間見続けることは少なく、断続的な利用だと考えられる。視距離が短くなる児童生徒への指導を行い、一度の学習活動が長くならないようにするべきだ」と指摘した。

日本眼科医会学校保健委員会の宇津見義一副委員長は、睡眠前のデジタル端末使用は控えることや、ヘッドホンを着用する場合は騒音性難聴のリスクに留意することが必要だとした。また色覚異常のある子供には、「文字や図を示す時は色名のみで指示しない、色合いだけでなくコントラストに差をつける」などの配慮が必要だとした。

デジタル教科書の使用に強い懸念を示したのは日本医師会の渡辺弘司常任理事で、「授業以外は教科書や教材にアクセスできないようにすべきだ。過度のICT活用が子供たちにどのような影響を与えるか、科学的根拠に基づいた議論が必要で、拙速に方針を決めるべきでない」と訴えた。

委員からは紙の本との違いや、文字のフォント・発達段階・画面レイアウトなどにより影響が違うのかといった質問が出され、報告した専門家は「本を読む場合も30分を超えないように」「大きなフォントの方が負担は小さい」「特に小学生で配慮が必要」などと回答した。

座長を務める東北大学大学院の堀田龍也教授は「子供たちに身に付けさせておくべきリテラシーとして、健康への留意が求められることがはっきりした」と結んだ。

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