マイナンバーカード対応「25年度までに完成」 菅首相

菅義偉首相は9月25日、マイナンバーの利活用とデジタル基盤の改善を議論するワーキンググループの席上で、国や自治体がマイナンバーカードを役立てていく体制を整備する工程表を年内に作成し、「2025年度末までに必要なデジタル・トランスフォーメーションを完成する」との考えを表明した。教育分野では、オンライン端末で学習履歴(スタディ・ログ)を活用する際の本人認証や、学校の健康診断で把握した児童生徒の健診データに、マイナンバーカードの利活用が検討されている。実施期限が遅くとも5年後に設定されたことで、検討作業が加速することになりそうだ。

ワーキンググループで発言する菅義偉首相

WGは、政府のデジタル・ガバメント閣僚会議の下に、今年6月に設置された「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ(WG)」。若手のIT企業幹部などの有識者と関係省庁の担当者で構成されており、今回が3回目の会合となる。菅首相は9月17日の就任会見で、「行政のデジタル化の鍵はマイナンバーカード」と述べており、このWGは、菅政権が看板政策に掲げる社会のデジタル化を方向付けるブレーンの一つとなっている。

この日の会議では、前回の会議で提起された、マイナンバーカードと行政のデジタル化を巡る33項目の課題について、今年度内に実現や開始を予定する事項として、マイナンバーカード未取得者に対するQRコード付き交付申請書の発送や、来年3月にスタートするマイナンバーカードの健康保険証としての利用に向けた準備などを確認。IT基本法や個人情報保護法の改正など、来年1月に始まる次の通常国会に提出する法改正の内容などを整理した。

齋藤洋平フューチャー社CTOが、国と地方のデジタル化に向けて、2025年に目指す姿を説明。マイナンバーが国民一人一人の公金出納用の銀行口座にひも付けられて、児童手当や生活保護などのセーフティーをデジタルで対応したり、戸籍や住民基本台帳をデジタル化したりするイメージと、それが実現するまでの移行プロセスを語った。続いて、法務省が戸籍に付ける読み仮名の法制化について検討事項を挙げ、総務省が自治体の業務システムの統一・標準化の加速策を説明した。

菅首相は「わが国のデジタル化を進めるためには、まずは国・地方の行政がデジタル化を実現し、あらゆる手続きが役所に行かなくても実現できる、必要な給付が迅速に行われる、こういった社会を早急に実現する必要がある」と述べ、そのためにマイナンバーカードの普及と利活用が重要との見方を強調。

その上で、「マイナンバーカードの機能のスマホへの搭載、マイナンバーカードの発行を担うJ-LIS(地方公共団体情報システム機構)の専門性向上や国の関与、関連システムの民間の利用促進、マイナンバーカードを活用した住民による健康情報の活用など、33項目の課題について、今後5年間、すなわち2025年度末までに必要なデジタル・トランスフォーメーションを完成するための工程表を、このWGで策定していく」と表明した。

マイナンバーカードと行政のデジタル化を巡る33項目の課題では、マイナンバー制度の利活用範囲の拡大として、▽多様なセーフティーネット=児童手当、生活保護などの情報連携などの改善の検討▽教育=学校健診データの保管、GIGA スクールにおける認証手段などの検討▽金融=公金受取口座、複数口座の管理や相続などの利便向上、ATMによる口座振込(マネロン対策・特殊詐欺対策)、預貯金付番の在り方の検討▽各種免許・国家資格など=運転免許証その他の国家資格証のデジタル化、在留カードとの一体化、クラウドを活用した共通基盤等の検討――が挙げられている。

このうち、学校健診データへの対応は、政府が7月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2020」(骨太の方針)で、PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)構想の一環として、2022年をめどに実現を目指す方針がすでに明記されている。

WGでは今後、33項目の課題に時限を区切って取り組むため、11月までに工程表をとりまとめ、12月のデジタル・ガバメント閣僚会議で工程表を決定する。工程表はデジタル・ガバメント実行計画の見直しに反映され、閣議決定される見通し。

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