「ミュート外して」 オードリー・タン氏、10代にエール

台湾で新型コロナウイルスの感染が広がる中、マスクの在庫がほぼリアルタイムで分かるシステムをわずか3日で開発したことで注目された、同国のオードリー・タン(唐鳳)デジタル担当相がこのほど、13~19歳向けオンラインラーニングコミュニティー「Inspire High(インスパイア・ハイ)」のイベントに登壇し、参加者とオンラインで意見交換した。10代の参加者らが変えたいと思う社会課題を聞き、タン氏はオンライン会議システムの機能になぞらえて、「(自分の音声が相手に聞こえないようにする)ミュートを外して、声を出すことが大切」とエールを送った。

オンラインで登壇した台湾のオードリー・タン(唐鳳)デジタル担当相

参加者は「ハンコ文化をなくしたい」「女性の政治家を増やしたい」といった、菅義偉内閣の発足で注目された話題や、「プラスチックごみを減らしたい」「たばこのポイ捨てをなくしたい」などの環境問題、また「外国人が暮らしやすい社会に」「空き家を減らしたい」といった社会課題を提起し、自分で考えた解決策についても発表した。

ある参加者が「万引を減らすために、監視システムを作ってはどうか」と発表すると、タン氏は「監視は抑制にはなるが、面白がって万引する人は、監視のシステムを導入したらもっと面白がって、システムを攻撃するかもしれない。そういう人の知識や技術を、もっと創造的な目的に向かせる仕組みがあるとよい」とコメントした。

「車椅子を使う生徒のため、学校にエレベーターを設置したい」と発表した参加者には、「高地や海底など、車椅子ではアクセスできないところが世の中にはあるが、VR(仮想現実)技術を使えば行きたいところに行けて、景色を見ることができる。学校もデジタルになり、そのデジタルスペースでいろいろな人が学ぶ、ということも可能になるかもしれない」と応じた。

また「全てのものには割れ目がある。そこから光が入ってくる」という、自身が好きな言葉を紹介。「もし(社会の)割れ目に気付いたら、それを発信して解決策を見つけよう。社会に参加するのに、大学を出ていないといけない、成人でないといけない、という条件はない。誰もがミュートを外して(unmute)、声を上げることが大切だ」と訴えた。

タン氏は14歳で中学校を中退、19歳の時に米国・シリコンバレーでソフトウェア会社を起業し、35歳の若さでデジタル担当相に就任した。

プログラミングを始めたのは8歳のころ。イベントでは「数学は好きだったが計算が苦手だった。プログラミングができれば苦手な計算を気にすることなく、数学の考え方を追究できると思った。親がコンピューターを買ってくれて、最初のコーディングは“hello, world”だった」と振り返った。

また、学校生活になじめず中学校を中退したことにも触れ、「先生には『10年かけて勉強しなければ最先端の仕事はできない』と言われていたが、米国で最先端の研究をしている研究者に論文の感想をメールで送ると、すぐ返信をもらえた。インターネットで新しい知識を生み出すのに10年も待っていられない、と校長先生に説明したら、背中を押してくれた」と説明した。

今回のオンラインイベントには主に日本の13~19歳、約1000人が参加。3400件近くのコメントが寄せられ、発表された社会課題の数も480件に上った。インスパイア・ハイは経産省の今年度「未来の教室」実証事業、EdTech導入補助金対象事業に採択されている。

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