虐待受けた子供の支援は多機関連携が鍵 弁護士らが訴え

虐待を受けた子供の権利を保障する仕組みづくりを検討している、厚労省の「子どもの権利擁護に関するワーキングチーム(WT)」は10月2日、都内で第3回会合を開き、子供の保護や自立支援に取り組む民間の支援団体の理事を務める弁護士らからヒアリングを行った。弁護士らは、多機関連携による支援の必要性を訴えた。

子供の支援活動に取り組む民間団体からヒアリングを行ったWT

虐待を受けるなどして実家から逃げ出してきた子供を一時保護する「子どもシェルター」を運営している、カリヨン子どもセンター理事の坪井節子弁護士は、同センターが子どもシェルターを日本で初めて開設することになった経緯を紹介。東京弁護士会の子どもの人権救済センター(子どもの人権110番)の活動に関わっていた坪井弁護士は、電話で寄せられる子供の相談が、当初はいじめや不登校、教師とのトラブルといったものから、近年は家庭内での虐待被害を訴えるものが多くなったと感じていたという。

しかし、当時は児童相談所以外で子供を一時的に保護できる場がなく、オリジナルの劇などを通じて子どもシェルターの必要性を訴え、実現にこぎ着けた。現在、子どもシェルターは全国17カ所にまで増えている。

坪井弁護士は「弁護士や児童相談所の職員、カウンセラー、医師といったさまざまな人が連携し、子供を真ん中にして多機関でスクラムを組まなければ、苦しむ子供たちを受け止めきれない。シェルターなどから自立できた後も、子供たちはさまざまな困難や孤立に見舞われるケースが多い。帰る実家のない子供や若者の支援にどうつなげていくかが課題だ」と指摘した。

虐待を受けた子供の支援や、さまざまな機関との連携などをワンストップで行う「神奈川子ども支援センターつなっぐ」の代表理事をしている飛田桂弁護士は、米国の事例などを踏まえ、日本における子供支援のためのワンストップセンターの在り方について提案。

「ワンストップセンターはあくまで箱に過ぎない。中に入る多職種による連携チームが鍵になる。守秘義務を重視する日本では、地域の実情に応じた連携を組みつつ、行政機関がバックアップすることが必要不可欠だ」と強調した。

また、虐待を受けた子供と関係性を築く難しさにも言及。「自分を守ってくれるはずの親から虐待を受けた子供たちは、人間不信になり、虐待について大人に何を話せばいいのか、誰を信じればいいのか分からなくなっている。私も、そうした子供たちと最初に話すときは自己紹介程度にとどめた上で、虐待のことは子供から話し出すまで絶対に触れないようにしている。好きなものを聞いたりして、やりたいことが出てきたら一緒にやったりしながら、徐々に今後の支援につなげていくようにしている」と話した。


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