教科担任制の好事例を報告 文科省の検討会議が初会合

学習内容が徐々に高度になる小学校高学年での専門的な指導や、中学校との円滑な接続を目指し、2022年度をめどに本格導入が検討されている小学校高学年からの教科担任制について、文科省初中局長のもとに新たに設置された「義務教育9年間を見通した指導体制の在り方等に関する検討会議」は10月7日、初会合を開き、先行する地域の事例に基づいて、教職員配置や効果的な指導についての具体的な検討に着手した。

会合の冒頭であいさつする文科省の瀧本寛初中局長

この検討会議では▽優先的に専科指導の対象とすべき教科▽専科指導の専門性を担保する方策▽学校規模や地理的条件に応じた教職員配置の在り方▽その他教職員定数の確保の在り方――について議論する。また今年度中に調査研究も行い、学校間連携や教員配置の工夫で、いち早く小学校における教科担任制を導入している先進事例を整理・分析する。

冒頭のあいさつに立った文科省の瀧本寛初中局長は「調査研究はエビデンスの体系的な整理・分析を行うことを主眼としており、検討会議での検討の具体化と連携を図りながら進める必要があると考えている」と説明した。

今回の会合では、先行して教科担任制を実施している地域として、検討会議の委員である群馬県教委事務局の鈴木佳子学校人事課長、兵庫県教委事務局の村田かおり義務教育課長が、それぞれの事例を紹介した。

群馬県教委の鈴木課長は、教員の多忙化や教材研究の負担を背景に、13~14年ごろから小学校での教科担任制を進めてきたことや、特配教員を活用し、国語・算数を含む4教科以上を教科担任制とする方策を講じていることを紹介。

また、県内の3分の2の中学校で、何らかの形で小学校での専科指導に出向いており、「いずれ中学校に進学する児童の指導を行うことで、専門性の担保とともになめらかな小中連携につながる」と、中学校にとってのメリットも説明した。

兵庫県教委の村田課長は12年から、担任間の授業交換による教科担任制と、担任と加配教員による少人数授業を組み合わせた「兵庫型教科担任制」を全県で実施している事例を提示した=図表=。交換授業の教科は社会・理科が多く、少人数指導の教科は算数・理科が多くなっているとした。

「兵庫型教科担任制」のイメージ(兵庫県教委事務局・村田かおり義務教育課長提供資料)

加えて、県内の児童の抽出調査で8割が「授業を楽しいと思うことが多くなった」「担任の先生以外の先生に気軽に話ができるようになった」と回答したことや、教員からも「児童の変化に気付きやすくなり、問題の未然防止・早期対応ができた」「多くの教員が関わることで、児童の良さを認め合う場面が多くなった」という声があがったことを紹介した。

一方で、クラスの数によっては授業交換が複雑になったり、教員の負担軽減につながりにくくなったりすることや、数年にわたって担当しない教科ができることで、特に若手教員の指導の機会が減るといった課題もあるとした。

中教審が9月28日に取りまとめた答申中間案では、小学校高学年からの教科担任制について「授業の質の向上を図り、児童一人一人の学習内容の理解度・定着度の向上と学びの高度化を図ることが重要である」「教師の持ちコマ数の軽減や授業準備の効率化により、学校教育活動の充実や教師の負担軽減に資する」とされている。

委員からは「系統的な学びの保障と働き方改革、どちらに主眼を置くのか」といった問い掛けがあり、文科省の担当官は「まずは子供たちの学びをベースに考える必要があり、子供たちの学習内容の理解の定着、学びの高度化を図っていくために、授業の質の向上を図る」と、今回の検討会議の前提を説明した。

中教審ではまた、専科指導の対象を外国語・理科・算数とする案や、導入に必要な教員定数の確保、小中両方の免許状取得に向けた検討の必要性を示しており、検討会議での議論を通じて具体化を図るとみられる。

文科省は来年度予算案の概算要求で、小学校高学年での教科担任制による専科指導の充実、障害のある児童生徒への通級指導の充実などのため、2397人の教員増を図るとしている。検討会議では、教科担任制の本格導入を目指す2022年度予算の概算要求に向け、来年夏をめどに議論を取りまとめる。

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