遠隔授業の規制緩和「端末整備後にチャレンジ」 文科相

義務教育のオンライン授業で、受信側に教師の同席を求める要件の緩和を求める声が出ていることについて、萩生田光一文科相は10月9日の閣議後会見で、「子供一人一人に対して適切に指導を行うためには、受信側に教師がいることが必要」と述べ、現段階では規制緩和に応じる考えがないことを明らかにした。同時に「1人1台端末によるGIGAスクールが機能し始めた後の授業の在り方は、いろいろチャレンジしていかなければならない。ただ、『学校に来なくてもいい』という世の中を作ってはいけない」と説明。オンライン授業の導入には柔軟に取り組む姿勢を示す一方、対面指導や集団活動を学校教育の基本としていく考えに変わりがないことを改めて強調した。

オンライン授業の規制緩和について説明する萩生田文科相

小中学校でオンライン授業を行うときには、受信側に教師が同席していることと、同時双方向であることの両方が要件となっている。一方、文科省は4月10日付通知で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う特例措置として、休校中にICT教材や動画などを使った家庭学習を、小中学校が学習評価に反映することを認めている。

こうしたコロナ禍のオンライン教育に関連する特例措置について、10月6日に開かれた政府の経済財政諮問会議では、有識者議員による提言で「恒久化に向けて速やかな検討が必要」と指摘。10月2日に行われた萩生田文科相、平井卓也デジタル改革相との3閣僚会合でも、河野太郎行政改革相が「新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言下の特例ではないだろう」と述べ、特例措置を恒久化して従来の教育とデジタル教育を組み合わせたハイブリッド型教育につなげるよう求めた。

特例措置を恒久化することで、実質的な規制緩和の進展を求める動きに対し、萩生田文科相は「義務教育段階では、1人1台端末の整備により、例えば病気療養とか不登校の児童生徒に対する、オンライン教育を活用した学びの機会をより一層充実させていくことを考えている。だが、子供一人一人に対して適切に指導を行うためには、受信側に教師がいることが必要。教師が同席しない遠隔オンラインでの指導をもって、対面での授業に代替できることは現段階では考えていない」と明言。特例措置の恒久化には現段階では応じないとの考えを確認した。

一方、社会のデジタル化を掲げる菅義偉内閣では、教育分野のデジタル化に向けた規制緩和は大きな方向性となっている。菅首相は9月23日、全閣僚を集めたデジタル改革関係閣僚会議の席上、「デジタル教育などの規制緩和」の推進を指示。文科省もデジタル化推進本部を省内に設置し、年内を期限とする「デジタル庁」創設の基本方針の取りまとめに向け、デジタル化に向けた課題の洗い出し作業を進めている。

こうした流れの中、萩生田文科相は「1人1台端末によるGIGAスクールが機能し始めた後の授業の在り方は、いろいろチャレンジしていかなければならない。例えば、全国一斉に同じテーマで、オンラインで勉強することは可能になってくると思う。その場合には、受け手側に必ずしも教員がいなくても、授業ができることがあるかもしれない」と述べ、歩み寄る姿勢を示唆。「抵抗するつもりは全くない。既存のルールに縛らなくても、ちゃんとできるものがあれば、チャレンジしていけばいいことだ」と言葉を尽くしながら、柔軟に対応する考えを示した。

その上で、教育のデジタル化に向けた規制緩和を求められた3閣僚会合でのやりとりについて、「一番心配しているのは『学校に来なくてもいい』という世の中を作ってはいけないということ。オンライン授業は、あくまで(対面)授業の一部を代替するものであり、それをもって学校教育が完結するわけではない。このことを強調させていただいた」と説明。

「対面指導や集団活動を通して、学校の中でいろいろなことを学びながら、子供たちは育っていく。オンライン授業ができたからといって、学校へ行くことを代替することにはならない。乱暴な代替策は、現段階では考えてほしくない、と二人の大臣に伝えた。そこは丁寧に行きたいと思っている」と述べ、オンライン教育の良いところは柔軟に取り入れていく一方で、学校教育の基本には対面指導や集団活動を置くべきだとの考えを改めて述べた。

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