教員の資格要件や雇用制度 規制緩和の対象に、政府WG

政府の規制改革推進会議は10月12日、雇用・人づくりワーキング・グループ(WG)の初会合を開いた。重点的に取り組む課題として、オンライン教育の充実とともに、デジタル化時代に向けた教員人材の確保と多様化に取り組むため、教員の資格要件や雇用制度の整理、見直しについて議論していくことを了承した。社会のデジタル化推進を掲げる菅義偉首相は、教育分野ではデジタル教育に関連する規制緩和の推進を求めており、これまで指摘されてきたオンライン授業やデジタル教科書に加え、教員の資格要件や雇用制度についても規制緩和の検討対象になることになった。

菅政権下での初会合となった、この日の雇用・人づくりWGでは、まず当面の審議事項を議題に取り上げ、運営の基本方針として、新型コロナウイルスの感染拡大やポストコロナ時代を見据えた働き方への対応と、未来を支える人材の育成を図る視点から、雇用や人材育成に関する効果の高い規制改革に取り組むことを確認。

重点的に取り組む課題として、▽ウィズコロナ時代を踏まえたテレワーク促進など働き方への対応▽多様な働き手への就業環境整備などに向けた対応▽オンライン教育の充実▽デジタル時代の日本を支えるイノベーション人材育成の環境整備――の4点を挙げた。今後の進め方については「できるものから順次速やかに成案を得られるよう、議論を取りまとめる」とした。

このうち、オンライン教育については、コロナ禍で特例的に認められているオンライン教育の実施要件について、拡充や恒久化に向けて議論を行う。当面は運用実態や状況を確認し、メリットとデメリットの整理を進める。

内閣府規制改革推進室によると、出席した委員からは「オンライン教育の実態を確認した上で、議論を整理していく必要がある」との意見が出され、文科省などとオンライン教育の現状を確認していく方向となった。

イノベーション人材育成の環境整備では、審議項目として「デジタル化時代に対応できる人材育成のために、教員の資格要件や雇用制度の整理・見直しを通じた教員人材の確保・多様化、カリキュラムを始めとした人材育成環境整備について議論する」ことを確認。民間企業やNPOなどの人材を迎え入れ、教員の人材確保や多様化を進めたり、カリキュラム作りなどに役立てたりするために、必要な規制改革に取り組む姿勢を示した。

また、人材育成の観点から「標準時間数主義から習得主義への移行について議論を行う」として、現在の標準授業時数に基づく履修主義の見直しに取り組む。

さらに「不登校などの理由で教育を受けていない児童生徒に対して、教育を受ける機会を拡充し、教育の受け方の選択肢を広げるための環境構築について検討する」ことも重点課題に挙げた。

こうした審議項目について、内閣府規制改革推進室の担当官は「義務教育や高校、大学など学校種の区別をしたものではない。幅広く見直しを考えていく」と説明している。また、菅首相は9月23日に全閣僚が出席したデジタル改革関係閣僚会議の席上、デジタル庁の設立と社会のデジタル化推進を強調。教育分野では「デジタル教育などの規制緩和」の推進を指示した。こうした菅内閣の方針の下、規制改革推進会議は、河野太郎行政改革相の指揮下で規制緩和の論点を洗い出し、関係省庁に取り組みを促すエンジンの役割を担う可能性が出ている。

これまで萩生田光一文科相、平井卓也デジタル改革相、河野行革相による3閣僚会合などでは、小中学校でオンライン授業を行うときに、受信側に教師の同席を求める要件や、学習者用デジタル教科書の使用を授業時数の2分の1までとする基準などが規制緩和を巡る議論の対象となってきた。社会のデジタル化推進に関連して、教員の資格要件や雇用制度が議論の対象に浮上するのは、これが初めてとみられる。

次のニュースを読む >

関連