政府の「デジタル庁」創設に向け、デジタル社会の在り方やデジタル改革の進め方について広く国民から意見を募るとしてウェブ上に開設された「デジタル改革アイデアボックス」が盛り上がりを見せている。10月14日夕方の時点で登録ユーザー数は約1800人に上り、これからの教育や学校に関する投稿も多く集まっている。

デジタル改革アイデアボックスのウェブサイトでは▽生活者・事業者の声▽IT業界の声▽自治体職員の声▽省庁職員の声▽その他――のカテゴリー別にアイデアを募集。投稿されたアイデアを閲覧し、コメントや投票することもできる。
教育分野では、デジタル時代の授業の在り方についての意見が寄せられている。「全国の先生が作った動画を1つのサイトに集約して公開してはどうか。児童・生徒が自由に選んで受講し、評価する。先生は人気の授業を見て教え方を工夫すればよい」というアイデアや、「全国各地で何十万人もの教員が時間をかけて作成した教材や授業案の共有。使ってよかった教材や授業案が手に入り、全国どこでも質の高い教育が受けられる」という提案も。
またGIGAスクール構想で対象となっていない高校に関する意見も見られた。「高校生に1人1台端末を持たせて教育を行うべき。まずはすでに持っているスマホを授業や連絡で使うことから」(生活者・事業者の声)、「GIGAスクール構想で導入したタブレットを義務教育終了時に生徒に譲渡できないか。高校で新たに端末を整備する必要がなくなる」(自治体職員の声)といった意見のほか、高校生だというユーザーからは大学入学共通テストのインターネット出願を望む声があった。
保護者とみられるユーザーからは「小学校の連絡帳」についての投稿があった。「学校を休むときはその旨を連絡帳に書いてハンコを押し、子供の友達に託して学校に持っていくが、コロナ禍にあって不必要な接触を避ける意味でも、まずは学校の欠席連絡と欠席児童への宿題提供からでも、全国一斉にデジタル化(ハンコも廃止)できないか」。
制度や行政に関する提案も相次いでいる。「義務教育の登校困難児でないケースについても、オンライン学習中心のホームスクーリング制度による卒業・修了が認定されるよう整備を行うべき」(IT業界の声)、「学校のITインフラは、学校ごとに差が出ないようにある程度統一されるべき」(同)といった声や、「図書館、公民館や市民ホールなど、学校以外にもPCを使える環境(施設)の設置を」(生活者・事業者の声)という意見もあった。

一方で「子供時代にしか得られない現実での対人関係での出来事は一生の宝。端末機器の規制をかけることをお願いしたい」(その他)と、デジタル化の進展に慎重な声もあった。
平井卓也デジタル改革相は13日の閣議後会見で、デジタル改革アイデアボックスに寄せられた投稿について、「書き込みに対してさらにいろいろな意見が書き込まれ、議論の場になっている。できるだけ双方向の議論にしたい。担当の私がどのような形で参画できるかを検討しているところ」と述べた。
15日にはスマートフォンに対応したページも公表する。
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