角川ドワンゴ学園が来年度にS高を開校 VRを本格導入

インターネットを活用した広域通信制高校の「N高等学校」を運営する角川ドワンゴ学園は10月15日夜、ライブ配信による事業発表会を行い、新たに来年4月から茨城県つくば市に「S高等学校」を開校すると発表した。同時に、最先端のVRデバイスを本格導入した「普通科プレミアム」も両校でスタートする。

S高校の開校を発表した会見(角川ドワンゴ学園提供)

N高校は現在、ネットコースと通学コースを合わせて1万5803人が在籍しており、年々、入学者数も増加。スクーリングを行う沖縄県にある伊計本校の教室数や宿泊施設のキャパシティーが足りなくなる可能性が出てきたため、「第二のN高」となるS高校の開校を決めたという。

Super、Special、Shine、Spectacleなどの意味を込めたS高校は、旧つくば市立筑波西中学校の校舎を改修し、本校として利用。校長には、プログラマーとしてN高校のプログラミング教育の責任者を務めた吉村総一郎氏が就任する。また、同じつくば市内にある筑波大学と教育研究に関する連携協定も結ぶ。

記者会見にゲスト出演した五十嵐立青(たつお)市長は「自分の学びを追究し、大人が教える枠組みにはまらない、主体性を引き出す学びをつくば市の公教育でも推進していきたい。S高校と一緒にできることを楽しみにしている」と歓迎した。

さらに来年4月から両校では、これまで動画で配信していた講座に仮想現実(VR)を実装したプログラム「普通科プレミアム」を提供する。生徒は、最新型のワイヤレスVRデバイスを装着することで、仮想の学習空間でアバターとなって授業を受けることができる。VR空間には、スパイラルに学びながら進化・成長を続ける若者をコンセプトにした「学びの塔」と呼ばれる校舎も用意され、新国立競技場を設計した建築家の隈研吾氏がデザインを手掛けた。

隈研吾氏がデザインした仮想空間上の校舎「学びの塔」の模型(角川ドワンゴ学園提供)

実際の授業では、VRの特性を生かして、立体的な教材を動かしながら思考を深めたり、再現された世界中の歴史的建造物を動き回りながら観察したりして、360度の視覚と聴覚で体感的に学ぶ。アバターの動きはタイムシフト機能により、他の生徒が授業を受けていたときの動きのログが残っているため、非同期でありながら仲間と一緒に学んでいるような感覚を得られる。また、動画とVRのコンテンツはシームレスに切り替えることができるため、VRで学びたいときと動画を見たいときを学習者の好きなタイミングで自由に選択できる。

来年度の開講時点では、N高校の約6600本ある授業動画のうち、2400講座がVRに対応。来年度中には過半数の講座にVRが加わる予定。授業だけでなく、面接指導などのコミュニケーションのトレーニングツールとしての活用も想定しているという。

角川ドワンゴ学園理事の川上量生(のぶお)バーチャルキャスト取締役会長は、この「普通科プレミアム」で実装されたVR技術によって、学習への没入や段階的なコミュニケーションスキルの獲得など、従来のオンライン授業やリアルな指導でも難しかったような学びが実現できると強調。「システムは市販のソフトをベースに開発しているので、教材の制作コストも抑えられる。そういう意味でも世界初の実用的なVR学習プラットフォームになったと思っている」と述べた。

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