「高校改革は大学につながるのか」 中教審、中間まとめを議論

中教審は10月16日、第125回会合を開き、初等中等教育分科会「新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会」が今月7日に公表した中間まとめ「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」について、意見交換を行った。委員からは「中間まとめに描かれた高校改革は、本当に大学につながるのか」(橋本幸三京都府教育長)と高大接続改革の再整理を求める意見や、「『令和の日本型学校教育』は、ジョブ型人材を育てる教育になっているのか」(志賀俊之INCJ会長)といった鋭い指摘が相次いだ。

高大接続改革の再整理を求めた橋本幸三京都府教育長

会合では、まず、特別部会の審議経過について、座長を務める荒瀬克己関西国際大学学長補佐が「ポストコロナの段階では、対面指導か遠隔・オンライン教育か、どちらか一方を選ぶのではなく、発達段階に応じて、それらを適切に組み合わせて使いこなすことで、協働的な学びを展開することが必要である、という方向性を示した」と説明。中間まとめでは「2020年代を通じて実現を目指す学校教育を『令和の日本型学校教育』と名付けた。幼児教育から各学校段階における子供の学び、教職員の姿、子供たちを支える環境について、ぜひとも実現したい姿を述べている」と報告した。

続いて、委員がさまざまな関心事項について意見を表明した。

橋本京都府教育長は、大学入学共通テストでの英語民間試験活用見送りなど、大学入試改革の頓挫で見直しを迫られた高校と大学の接続について、「中間まとめは、高校の学びをより充実させ、魅力を高めようとしている。だが、大学入試改革は現在、見直し議論の最中で、高校の多様な学びを大学が評価できるようにするJAPAN e-Portfolio(ジャパンeポートフォリオ)の先行きも見通せない。今回の高校改革が本当に大学につながっていくのか、不安がある」と、中間まとめが描いた高校改革の実効性に疑問を表明。「大学入試が高校の教育に与える影響が実際に大きい。改めて高校と大学の連携に視点を当てた整理が必要ではないか」と問題を提起した。

志賀INCJ会長(CEO)は「産業界では、メンバーシップ型からジョブ型へ採用のシフトが急速に進んでいる。従業員にとっては、常に自分の能力を試される厳しい世界がやってくる。しかも誰でもできる仕事はAIがやってしまうので、AIができないような企画力や実行力のある人材が即戦力として求められる。そういう産業界の動きを想定したとき、中間まとめが示す『令和の日本型学校教育』が、そういうジョブ型人材を育てる教育になっているかどうか」と厳しく指摘。

ジョブ型人材の育成を促す志賀俊之INCJ会長(CEO)

さらに「高校の普通科改革で取り上げられている学科の弾力化は非常に重要だ。高校の普通科は、これまでメンバーシップ型人材を育ててきた。全体的に平均値の高い生徒を育てる教育だった。もっと一人一人の能力を特化させて育てていく教育に移っていき、さらに大学で専門性を磨いていく。それがジョブ型人材の育成につながる。こうした産業界の動きを考えて、答申の作成に当たってほしい」と述べた。

こうした意見表明を受け、議事を進めていた渡邉光一郎会長(第一生命ホールディングス会長、日本経済団体連合会副会長)は「高校段階ではスクールポリシーを明確にして、大学入試につなげていくという考え方と理解したい。大学入試はいま、行政マターとなっている。行政で対応してほしい」と述べ、文科省に注文をつける場面もあった。

地方自治体の関係者からは、GIGAスクール構想で整備している1人1台端末について、更新費用について国と自治体の財政負担を取り決めるスキームの明示を求める意見や、GIGAスクール構想の対象となっていない高校の1人1台を求める意見もあった。また、小学校高学年の教科担任制導入に必要な教員の配置や、少人数学級の実現に向けた取り組みを求める指摘もあった。

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