学習指導要領コードを公開 文科省、データ標準化へ第一歩

学校教育でのICT活用を支える「データの標準化」の第一歩として、文科省は10月16日、学習指導要領の内容や単元に共通コードを割り振る「学習指導要領コード」を設定し、「教育データ標準」(第1版)としてホームページ上で公開した。萩生田光一文科相は同日の閣議後会見で、「学習指導要領コードは、学校現場で教育データを効果的に活用するための基盤。例えば、教科書と教材の連携などが容易になり、子供たちの学びを広げるなど、さまざまな効果がある」と説明した。

「学習指導要領コード」について説明する萩生田光一文科相

学習指導要領コードは、学習指導要領の総則、各教科等の全ての項目を対象に、告示時期、学校種別、教科、学年などの分類に応じて、機械的に16桁の数字を割り振ったもの。検索が容易になるように、各桁に一定のルールを設定している。今回公表されたのは、小中高の最新版の指導要領に示された内容で、11月には小中高の前回改訂版、12月には幼稚園の教育要領および特別支援学校の最新版と前回改訂版について、順次コードを公表する。

最大のメリットは、学校現場で教える内容について、教科書だけでなく、教材やドリルなどの学習ツール、博物館のデジタルアーカイブなどを、指導要領の内容に沿うかたちで関連付けられることだ。

文科省が示した例では、小学6年生の社会で織田信長について児童が学習する場合、デジタル教科書に記載された該当ページをタッチすると、本能寺の変について説明したデジタル教材が自動的に表示されたり、関連するデジタル問題集が表示されて解答したりできる。さらに、博物館のデジタルアーカイブなどの関連資料も一覧で表示され、動画のように、これまで授業で使いにくかった教材も活用しやすくなる。

また、ネット上には児童生徒に有害な内容も含めて、さまざまなコンテンツが存在するが、学習指導要領コードを基にすれば、指導要領に沿った形でコンテンツが自動表示されることになる。

学習指導要領コードは、児童生徒に見えるようにデジタル教科書に記載されるわけではない。それぞれのコンテンツの中に埋め込まれ、関連コンテンツを探す際に、自動的に検索条件に追加されるため、児童生徒や教員には余計なストレスがかからない仕組みをイメージしている。

萩生田文科相は「教材事業者などの活用を促進していきたい」とした上で、「学習指導要領に示された何かのワード(言葉)にアクセスすれば、それに関連するものが一斉にメニューとして出てくる。例えば、参考資料として動画を呼び出すのは、今までの学校現場では非常に難しかった。それができるようになるので、授業の幅が出てくるのではないかと期待している」と説明した。

文科省では、学習指導要領コードの設定によって、学年間・教科等間を見渡したカリキュラム・マネジメントの推進や、開発した指導資料、副教材のデータベース化、教員研修の講座や研修履歴のデータベース化など、学校現場や教育委員会にとってもさまざまなメリットがあるとみている。

また、来年度予算概算要求には、文科省・自治体・学校間のデータ伝達を円滑・迅速化するためのシステム開発を盛り込んでいる。文科省初中局学びの先端技術活用推進室の桐生崇室長は「学習指導要領コードの使い勝手をよくする入力支援などの開発を進め、コードごとに集積知ができていくような形をイメージしている。学力の3要素に応じて必要な項目を検索できたり、結果として教員の授業内容が可視化されたり、さまざまな展開につながる可能性がある。そのためにも、まずは学びの内容をコード化しないと始まらない」と話している。

 

《学習指導要領のコード化により想定される効果》

※文科省資料より

[各学校]
学年間・教科等間を見渡したカリキュラム・マネジメントの推進
(環境教育、道徳教育、情報活用能力の育成など)
[教育委員会/教育センター]
①開発した指導資料、副教材のデータベース化
②教員研修の講座や研修履歴のデータベース化など
[文部科学省/国立教育政策研究所(国研)]
①国で開発した指導資料や教材のデータベース化
②全国学力・学習状況調査などの問題や指導案例のデータベース化など
[教員養成大学]
①学習指導要領と紐付けた教職科目の設置
②学習指導要領と紐付けた研究業績の確認など、教職課程認定の簡略化
[博物館・図書館・公文書館など]
博物館などで整備されているデジタルアーカイブと学習指導要領との紐付け
[教科書発行者/教材会社]
①発行した教科書や副教材(デジタル教材を含む)のデータベース化
②各種指導の参考書や指導資料のデータベース化など
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