教育データの利活用、現場目線で課題報告 文科省会議

学習履歴(スタディ・ログ)など、教育データの利活用を検討している文科省の有識者会議は10月19日、第2回会合を開いた。今回は有識者委員となっている教委の代表者3人が登壇し、学校現場でのデータ利活用の状況や課題について報告した。文科省は「今年度中に論点整理をし、方向性をまとめたい」とした。

ウェブ会議で行われた有識者会議

奈良県立教育研究所の小崎誠二主幹は、昨年12月から今年1月にかけて「先生の働き方調査」を行った結果、事務処理についての負担感が特に大きかったことを報告。県内の全公立学校で統一して利用する統合型校務システムの導入を進めた結果、異動時の負担が軽減される、名簿・出席簿の管理が楽になるなどのメリットがあったとした。

また埼玉県戸田市教委の戸ヶ﨑勤教育長は、「経験と勘と気合い」(3K)による教育実践や施策立案から脱却するという目的のもと、エビデンスに基づく教育改革を推進してきた経緯を紹介。課題として教委、学校、教員がさまざまなデータを正しく読み取れるデータリテラシーや、「お薬手帳」のように塾などでデータを再利用できる環境が必要だとした。

今後は「何のために教育データを使うのかという目的を、多くの教育関係者と共有する必要がある」「ICTの活用により学習データの取得が容易になり、評価指標が増えることも想定される中、評価の在り方がどのように変化していくか検証が必要」とも指摘した。

茨城県つくば市教委の中村めぐみ指導主事は「データは取得できているものの各所に散在しており、授業や家庭学習のサイクルにデータ利活用が定着しておらず、適切に活用できていない」という現場の課題を提示。

今後1人1台整備される端末でアプリやデジタル教科書と連携し、取得したデータを教育支援システムに集約する、また個別学習ログなどを解析し、教員の授業改善や子供の自己マネジメントにつなげるといった同市の構想を紹介した。

委員からは「学習履歴などの情報を学習者のために使う『一次利用』と、学校や社会のために使う『二次利用』の整理をすべき。自治体は一次利用の試行錯誤をすでに実践している状況だが、一次利用の定義を明確にした上で議論する必要がある」「一次利用が最も重要であり、どこかに(データを)集めるのではなく、本人にデータを提供することを最優先にすべき」という意見があった。

座長の堀田龍也東北大大学院教授は「子供たちに一次データとして返すのは当然だが、取得しているのは学校であることが、話をややこしくしている。理想的な形と、現実的にすぐ利用できる形をいろいろ考えながら進めていかなければいけない」とコメント。

また「これまで個別に活用されていたデータがつながることで、いろいろな目的に利用できるようになると、新たな利用想定が出てきて、一度(の議論)で終わらないということになる。そのため時限的な対応も考えながら、先々を構想していく必要がある」と、今後の議論の進め方について指摘した。

文科省は今月16日、学習指導要領の内容や単元に共通コードを割り振る「学習指導要領コード」を設定し、「データ標準」(第1版)としてウェブサイト上で公表。教育データの効果的な活用に向けた一歩を踏み出した。さらに年内には、各学校のコードを作成・公表するとしている。

次のニュースを読む >

関連
関連記事