変形労働時間制の条例化に反対 岐阜で有志団体が要望書

昨年の臨時国会で成立した改正給特法で新たに盛り込まれた、1年単位の変形労働時間制を巡り、有志団体の「岐阜県の学校教育をよくする会」は10月19日、議会での条例提案をしないよう求める要望書を同県教委に提出した。

岐阜県庁で記者会見を行う「岐阜県の学校教育をよくする会」のメンバー(岐阜県の学校教育をよくする会提供)

改正給特法で新たに加えられた1年単位の変形労働時間制では、例えば8月に5日程度のまとまった休日を設け、その分の勤務時間を他の月の勤務時間に上乗せできる。来年度から始まる変形労働時間制の導入に当たっては、自治体で条例を定める必要があり、月当たりの超過勤務時間は45時間以内、1年間の超過勤務時間は360時間以内を上限とする、改正給特法で定められた指針を順守していることが条件となっている。

要望書では、変形労働時間制は恒常的に長時間勤務を行っている公立学校の教員の働き方を、さらに悪化させかねない問題のある制度だと警鐘を鳴らし、県教委は導入を目的とした条例提案を県議会に行わないよう求めた。

同日、同会は岐阜県庁で記者会見を実施。斉藤ひでみのペンネームで昨年、変形労働時間制の導入に反対する署名活動などを行った、県立高校勤務の西村祐二教諭は「1年単位の変形労働時間制だと、8月に休める分は、それ以外の11カ月間に定時が伸びた分の振り替え休日であって、8月以外の勤務時間は伸びる。それが隠されたまま、議論が進んでしまっている。この『定時が伸びる問題』にこそ目を向けるべきで、これは働き方改革でも何でもない」と批判。

「そもそも今年度はコロナ対応で、制度導入の前提となる在校等時間のデータもあまりに変則的。正確なエビデンスが得られていない中で、少なくとも今年度に、変形労働時間制の導入について議論することはあり得ない」と条例化の動きをけん制した。

また、同会の賛同人として同席した岐阜県教職員組合の長谷川督翁(とくおう)執行委員長は、同組合が毎年実施している勤務改善アンケートの状況から、教育委員会や学校が教職員の勤務時間を正確に把握できていない可能性を指摘。

さらに、県教委が同組合に示した校種ごとの今年8月の平均時間外労働時間は、小学校で25時間30分、中学校で31時間48分となり、コロナ禍の影響で小学校では約15時間、中学校では約28時間増加していることを紹介し、「これは、長期間の休校による授業時数の確保のために夏休みが短くなったからだと考えられるが、去年の段階でもこれだけの残業時間がある。どうやってまとめ取りが可能だというのか」と訴えた。

賛同人の内田良名古屋大学准教授は「教員は夏休みくらいしか年次有給休暇を取得する機会がなく、そこで辛うじて年休を取っている。それが普段忙しい分、夏休みに休むとなれば、年休を取る場がなくなる。変形労働時間制を導入すれば、年休取得率は落ちる一方だろう」と指摘した。

次のニュースを読む >

関連
関連記事