熊本市のICT教育を語る 市長らがオンラインイベント

コロナ禍において、市内の全小中学校の児童生徒約4万7000人を対象に、双方向型のオンライン授業を4月から実現し、全国の教育・行政関係者から注目を集めた熊本市。その同市の大西一史市長、遠藤洋路教育長、本田裕紀教育センター副所長が登壇し、同市のICT教育について語るオンラインイベントが、このほど開かれた。

オンラインイベントに登壇した大西市長(左上)、本田教育センター副所長(右上)、教育ジャーナリストの佐藤氏(左下)、遠藤教育長(右下)

同イベントは、その一部始終をルポした書籍『教育委員会が本気出したらスゴかった』の発売記念として行われ、パネリストは著者である教育ジャーナリストの佐藤明彦氏が務めた。

同市は3年前まで、学校のICT環境が政令指定都市で下から2番目という状況だったという。それがなぜ、短期間でオンライン授業に踏み出せたのかについて、大西市長は「2016年の熊本地震での経験が大きい。同地震の際、熊本市では学びが止まった。学びを継続していくために、また、主体的に行動できる子供たちを育てていくための環境をつくるには、遠隔で授業ができるICTが有効だと考えた」と説明。同地震後に予算化し、3年かけて3人に1台のタブレット端末を整備してきたハード面での充実が、要因の一つだと話した。

また、オンライン授業をするためのセキュリティー面などの壁を、どう乗り越えたかについて、遠藤教育長は「一番大きなポイントは、子供に任せるのを怖がらないということ。フィルタリングなどは最低限にし、アプリや動画視聴などの制限も一切しなかった。つまり、できるだけ子供たちが端末を自由に使えることを意識してやった」と強調。

「それが新しい授業をつくること、新しい学校をつくることにも、子供たちが自ら考えて行動する力を付けることにもつながっていく。こうした方針で熊本地震以降、端末の整備や授業づくりを進めてきた。コロナ禍でもこれまでの積み重ねがあったから、教員も子供たちも対応できたのだと思う」と述べた。

本田教育センター副所長は、授業の在り方も大きく変化してきているとして、「以前は教員が一方的に話して、子供たちは受け身のことが多かった。また、教員が指名した子供だけが意見を発し、それをつないで授業が成立していた面もあった。しかし、授業でICTを活用すると、子供たちみんなが自分の考えをそこにアウトプットして、それを元に学び合いながら、思考力、判断力、表現力などを身に付けることができている」と説明。

「今まで意見を出せていなかった子供たちの意見も、共有できる。ICTは重要なツールであり、これからの可能性を信じている」と展望を語った。

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