不登校対策や高校、オンライン授業を規制緩和 文科省提示

自民党文部科学部会・教育再生調査会合同会議が10月22日開かれ、文科省は席上、初等中等教育における遠隔・オンライン教育について、不登校対策や高校を中心に規制緩和に取り組む方針を提示した。不登校の児童生徒や病気療養児へのオンライン授業を可能とするほか、不登校児童生徒には学習評価に反映するための実証研究を行う。高校では、遠隔授業に課せられている単位数の上限や、受信側の教員配置などの要件を見直す考えを打ち出した。義務教育段階の小中学校では、オンライン授業を含む家庭学習を学習評価に反映することを認めた一斉休校時の特例措置について、今後も感染症や自然災害で児童生徒が登校できない場合に限って適用する「制度的な措置」の検討を挙げた。

文科省が提示した遠隔・オンライン教育の規制緩和などの取り組み

文科省が提示した一連の項目は、新型コロナウイルスの感染拡大で学校の一斉休校が長期化し、遠隔・オンライン教育が急速に注目される中で、官民から出された規制緩和の要望に応える内容が多い。菅義偉首相は政権発足直後、「デジタル教育などの規制緩和」の推進を指示し、政府の規制改革推進会議や経済財政諮問会議もコロナ禍が広がる中で文科省が打ち出した特例措置の恒久化を求めている。

合同会議では、柴山昌彦・自民党教育再生調査会会長(前文科相)が冒頭、「初等中等段階において、対面指導とオンライン授業をどのような形でミックスしていくのかについて、いろいろな考え方の違いも表面化してきている。(コロナ対策で行った)時限的措置の恒久化は、今後の教育の在り方について非常に重要な論点となっている」とあいさつ。

続いて、瀧本寛・文科省初中局長が規制緩和などの取り組み方針を説明した。

不登校の児童生徒や病気療養児に対する学びの保障では、GIGAスクール構想によって1人1台端末が整備されることを受け、自宅や病室で同時双方向による授業配信や動画を使った学習を可能とする。さらに、不登校の児童生徒については、学校外における学習成果を評価に反映できるようにするため、同時双方向型オンライン授業の指導方法について実証研究を実施する。

不登校の児童生徒については、学校の別室や家庭で同時双方向のオンライン授業を受けることで、授業への参加が可能になった事例が複数報告されている。このため、不登校への同時双方向型オンライン授業の活用について、文科省として本格的に取り組む考えを示した。

高校の遠隔授業については、遠隔授業で取得できる単位数を36単位までとする上限や、遠隔授業の受信側の教室などに教員配置を求めている要件を見直す考えを明確にした。これにより、高校現場では、教師による対面授業と遠隔授業を柔軟に組み合わせることが可能となる。中山間地域や離島では、複数の高校でネットワークを構築して遠隔授業を行い、お互いの科目を選択して履修できるようにする。

さらに、高校では、家庭における同時双方向型オンライン学習を授業の一部として特例的に認めることを明記。中教審が答申の中間まとめで打ち出した、対面指導と遠隔・オンライン教育とのハイブリッド化を図る考えを示した。これにより、高校段階では、対面指導とオンライン学習の組み合わせについて、学校現場の自由度が大きく広がるものとみられる。

一方、義務教育段階の小中学校では、一定の制限を維持した上で、遠隔・オンライン教育の活用に取り組む姿勢も明確にした。

具体的には、新型コロナウイルスの感染拡大による一斉休校の際、学校が課した家庭学習の成果を学習評価に反映できるほか、学習内容の定着などを要件に対面での再指導を不要とした4月10日付の通知について、今後も感染症や自然災害で児童生徒が登校できない場合に限って、同様の対応を認める「制度的な措置」の検討を表明した。

会議冒頭にあいさつする柴山昌彦・自民党教育再生調査会会長(前文科相)

文科省では、この通知について、学校が課した家庭学習を学習評価の対象にしているものの、授業時数としては認めない立場を取っており、今回検討する考えを示した「制度的な措置」でも、感染症や自然災害で学校が臨時休校になった場合など、限定的な条件の中で制度化を検討する方向だ。対面指導と遠隔・オンライン教育とのハイブリッド化に取り組む中、義務教育段階では、学校への登校を通した児童生徒の集団活動や教師による対面指導を重視する文科省の方針が読み取れる。

柴山会長によると、出席した議員からは「オンライン教育は世界中で破壊的に進んでいる。いままでの延長ではなく、より積極的な利活用を考えてはどうか」との意見が複数あった。また、「教育委員会や学校現場で、オンラインを利活用して、どのような新しい創意工夫がされているかを調べ、そうした取り組みを横展開すべきだ」「タブレット端末を使い、多人数のクラスでオンライン教育をやるのは極めて困難。豆粒のように生徒の顔が出る。少人数学級を、より一層しっかり腰を入れて、進めていくべきではないか」といった意見が出された。

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