休校中のオンライン指導に成果と課題 規制改革WG

政府の規制改革推進会議は10月23日、雇用・人づくりワーキング・グループ(WG)の第2回会合を開き、オンライン教育の充実について、集中的に議論した。席上、文科省は、新型コロナウイルスの感染拡大による長期休校の期間中、いくつかの自治体が行ったオンライン指導の成果と課題に関する聞き取り調査の結果や、遠隔・オンライン教育に関連した規制緩和の取り組みをまとめて説明した。休校中のオンライン指導の成果として子供たちの学びの保障や、教師・児童生徒間のつながりの確保に効果があったと評価した一方、画面を通じた児童生徒の状況把握や集団での活動が困難といった課題を挙げた。

10月23日の閣議後会見で、教育分野の規制緩和について説明する河野太郎行政改革相

文科省が提出した資料によると、新学期になっても先行きが見えない状態で臨時休校が続いていた4月10日段階で、学校が課した家庭学習の成果を学習評価に反映でき、学習内容の定着などを要件に対面での再指導を不要とする通知を出した経緯を説明。この通知について、今後も感染症や自然災害で児童生徒が登校できない場合に限って、同様の対応を可能とするよう、制度として恒久化する考えを示した。

続いて、地方圏を中心に学校が再開され始めていた6月23日時点で、同時双方向型オンライン指導の実施率が学校設置者単位で15%だった調査結果を示し、東京都渋谷区が学習活動やホームルームをオンラインで実施したり、愛媛県立松山工業高校が分散登校の際に登校しない学年を対象に遠隔授業を実施したりといった同時双方向型オンライン指導の事例を紹介した。

さらに、こうした同時双方向型オンライン指導の成果と課題について、学校設置者である自治体などへの聞き取り調査を行い、その結果を義務教育段階と高校段階に分けて報告した。

それによると、義務教育段階と高校段階に共通して、休校期間中に教師と児童生徒のつながりを確保する手段として、同時双方向型オンライン指導が効果を上げたことが確認された。

義務教育段階では、習得型の学びを保障する効果や、不登校傾向の児童生徒が授業に参加しやすくなるといった成果があった。一方、児童生徒の学習状況が把握しにくく、不適切な使用をしている生徒への指導が難しいという指摘や、学習者の意欲や家庭環境に左右されやすくなるといった課題が浮かび上がってきた。

高校段階では、オンラインを通じて多様な大人と面談することで進路観や人生観が広がったり、普段の授業では自分の考えをあまり言わない生徒が自分の意見を発表しやすくなったりするといった成果が指摘された。課題としては、協働的な学習にスムーズに移れないこと、生徒個人の主体性や行動特性によって学習の成果が大きく異なると感じられたこと、生徒の理解度が把握しにくいことが挙げられた。

また、これまで規制改革推進会議などで教育分野の規制緩和が求められてきたことを踏まえ、初等中等教育における遠隔・オンライン教育について、不登校対策や高校、デジタル教科書に関連する規制緩和に取り組む方針を説明した。

不登校の児童生徒や病気療養児へのオンライン授業を可能とするほか、不登校児童生徒には学習評価に反映するための実証研究を行う。高校では、遠隔授業に課せられている単位数の上限や、受信側の教員配置などの要件を見直す。学習者用デジタル教科書については、10月23日の閣議後会見で萩生田光一文科相が表明した内容を受け、教科ごとに授業時数の2分の1未満としている現行基準を緩和する方向で見直し、年内をめどに方向性を示すことを報告した。

内閣府規制改革推進室の担当官によると、河野太郎行政改革相は席上、オンライン教育を進めていく必要があるとの認識を示した上で、学校教育について「小学校、中学校、高校、大学でいろいろなケースや段階がある。地域的にも、離島とか都心とか、バリエーションがある。その中で、われわれが目指すべきなのは、学校や先生が自由な裁量を持ち、生徒がそれぞれに最適な教育をきちんと受けられることだ。これをゴールにしていきたい」と述べ、遠隔・オンライン教育を巡る規制改革のゴール設定を明確にした。

その上で、「オンライン指導には、同時双方向性とか、受け手に教師が必要とか、デジタル教科書の使用基準とか、さまざまな要件や制度がある。こうしたルールは最小限にすべきだろう。目指すべきゴールに対して支障となる規制や制度は撤廃していくべきであり、そのための議論をしてほしい」と述べ、規制改革をさらに進めていく考えを強調した。

コロナ禍における長期休校で浮かび上がった
同時双方向型オンライン指導に関する成果と課題
《義務教育段階》
[成果]
    • 対面が実現できない中での最低限の教師と子供たちとの信頼関係づくり
    • 特に習得型の学びに対しての非常時の備え(学びを止めない)
    • 不登校傾向の子供たちが周囲の児童生徒を気にせず授業に参加しやすい
[課題]
    • 学習者の緊張感の維持や学習状況の把握が難しく、教師、学習者の双方が「やったつもり」になる危険性
    • 不適切な使用をしている生徒の発見や指導が困難な場合もあった
《高校段階》
[成果]
    • オンラインHRを実施し、臨時休業中の生徒の不安や悩みなどを確認できた
    • 多様な大人(卒業生、教師の知人など)との進路面談を行い、幅広い進路観や人生観を聞くことができた
    • 普段自分の考えを発表しにくい生徒も自分の意見を発表しやすくなる
[課題]
    • 通常時の対面指導に比べ、協働的な学習にスムーズに移れない
    • 生徒の個々の主体性や行動特性により、学習の成果が大きく異なると感じた
    • 生徒の手元が確認できず、理解度の把握の面で課題があった

※規制改革推進会議の雇用・人づくりWGに提出した資料から作成。
※文科省が学校設置者などからの聞き取りをまとめたもの。

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