ICT活用した学びの効果検証へ 長野・三重などの高校で

公立高校の設置者の立場から、多様なニーズに応じた高校教育について議論する全国知事会の「これからの高等学校教育のあり方研究会」は10月26日、第2回会合を開き、長野県、三重県などの高校を対象に、ICTを活用した学びの効果検証を行う方針を示した。期間は今年11月以降1~2カ月程度で、来年6月をめどに結果をまとめる。

ウェブ会議形式で行われた研究会

効果検証では、それぞれの県で学力水準などの特徴を踏まえ、偏りのないよう3校ほどの高校を選定。1年生または2年生を対象に、AI教材「Qubena(キュビナ)」を使った授業を数学・外国語など1~2教科で行い、同一校の中で活用したクラスと活用しなかったクラスで単元テストなどの比較を行う。

併せて、経産省「未来の教室」実証事業を通じて蓄積された、学習時間や成績分布などのデータの活用と、コロナ禍による休校中や休校後のオンライン教育に関する課題、要望に関する調査も行うとしている。

効果検証を共に行う慶應義塾大学の中室牧子教授(同研究会の学識経験者委員)は「コロナ禍の中で全国学力調査が中止になるなど、データを集められておらず、この間に何があったのか誰にも分からない状況で、将来に向けての投資をしなければならない。このようにデータを取って道しるべとなるような調査研究ができることを、うれしく思う」と述べた。

また「将来的には双方向のオンライン授業の効果や、教科学習以外の活用についても見ていきたい」とした。同研究会で座長を務める鈴木寛東京大学・慶應義塾大学教授は「生徒同士のオンラインを活用したコミュニケーションがうまくいくと、精神的なストレスの改善につながり、心身共に健全・健康に学ぶという意味でも重要だという論点が提起されている」と、ICT活用の効果検証を多様な観点から行うことも考えられるとした。

鈴木教授はまた「AI教材を取り上げるのは効果検証の第一弾。効果があることが分かれば、その観点から高校の1人1台環境の整備を進めるためのエビデンスになる。また、AI教材を家庭学習にも導入して成果があるということになれば、家庭での使用を前提とした端末・ネットワーク環境の整備や家庭への支援に、いかに効果的に予算を配分していくかという検証に資するのではないか」と説明した。

同研究会は今後▽高校の魅力化・特色化▽卒業時期・修行年限の柔軟化▽大学の入学時期・企業の採用時期の柔軟化要請▽学校間連携の促進、オンライン教育と対面指導のベストミックス――などについて議論する。学識経験者委員は次の通り。

▽荒瀬克己(関西国際大学学長補佐・基盤教育機構教授)▽内堀繁利(前長野県上田高等学校長)▽遠藤洋路(熊本市教育委員会教育長)▽鈴木寛(東京大学公共政策大学院教授・慶應義塾大学政策・メディア研究科兼総合政策学部教授▽中室牧子(慶應義塾大学総合政策学部教授)

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