デジタル教科書と教材の連携 技術面や発達段階など論点

1人1台端末の整備に伴い本格導入が検討されている学習者用デジタル教科書について、文科省の検討会議は10月27日、第5回会合を開き、ドリルや学習ノートといったデジタル教材を、どのようにデジタル教科書と組み合わせて活用するかについて議論した。自治体や学校の関係者からは、発達段階に合わせた活用や導入費用などの論点が出された。

教材出版社の団体である日本図書教材協会の森達也理事は、学校用デジタル教材の主な効果として▽個に応じた学習への対応▽紙の教材を補完する役割▽学習状況分析精度の向上、校務負担の軽減▽家庭との学習進捗(しんちょく)管理の共有――を挙げた。

その上で、デジタル教科書・教材は相互の機能を補完する形で、適切に連携することが必要だと指摘。現場で教員が多種多様な教材を検索閲覧して使えるようにすることや、クラウド型の教科書ビューアを統一し、安価に学校用デジタル教材を掲載できるようにすること、学習指導要領のコード化による連携を進めることなど、利便性の向上に期待を寄せた。

宮崎市教育情報研修センターの片山弘喜指導主事は「学習者の発達段階を考慮する必要がある。小学校では鉛筆の持ち方など、文字を書く行為そのものを習得させており、その場合は紙が適している。小学校低学年や中学年ではデジタル教科書を使いつつ、紙の教材を組み合わせ、発達に応じてデジタル教材に移行するのが効果的ではないか」と提案。

全国連合小学校長会の赤堀美子調査研究部長も「まずは小学校に入った段階の子供たちに、タブレットの扱いを教えつつ学習をしていくことになる。デジタル教材と紙の教材については、徐々にデジタルの教材を増やしていくのがよいのでは」と賛同した。

千葉県柏市教委の河嶌貞教育長は、同市の小学校2校・2学年で今年度、小学校の算数のデジタル教科書、デジタル教材、AIドリルを実験的に導入していることを紹介。

デジタル教材の学習効果を実感する一方、整備費用が課題になると指摘し、「ライセンスの関係から毎年度、発生する費用であり、簡単には財政部局の理解を得られる金額ではない。この先、無償化に向けての制度設計を進めてほしい」と要望した。

座長の堀田龍也東北大学大学院情報科学研究科教授は「教科書と教材の連携には、標準化などの技術開発がいずれ求められる。デジタル教科書と教材であれば学習指導要領のコード化が機能するが、デジタルノートのようなツールに近いものとの連携や、そこに子供が何かを貼った時の著作権の問題など、いろいろな(問題との)つながりがある。また、国や自治体、業界がそれぞれ、どこまで決めるのかという問題もある」と、今後さらに議論を深める必要性を指摘した。

デジタル教科書の使用を、各教科などの授業時数の2分の1未満とする現行の基準について、萩生田光一文科相が見直しに向けた検討を指示したことについては、次回11月13日の会合で議論を行った上で、12月22日の会合で方向性を示すとしている。

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