産官学連携によるSTEAM教育 未来の教室で事例報告

経産省が主催する「未来の教室」実証事業の第7回オンラインキャラバンがこのほど開かれ、学校と産官学の連携によってSTEAM教育を展開した、山形県教委と熊本県立熊本高校の事例が報告された。

産官学連携によるSTEAM教育について議論したオンラインキャラバン(YouTubeで取材)

山形県教育センターの熊坂克指導主事は、生物の実験で使用するDNAの解析装置を他教科の指導主事と協働して、100円ショップの材料などだけを使用し、1000円程度で自作した取り組みを報告。「生物の内容は高度化し、生徒にも実験をさせてあげたいが、そのための装置は高価で、全ての学校で導入することはできない。教員研修を担う教育センターが、さまざまな教科領域の指導主事や専門機関、企業と連携して、STEAM化することで、より現場のニーズに合った研修を提供できる」と話した。

またオンライン授業で、生徒の主体的・対話的で深い学びを誘発させるための方法として、「知識構成型ジグソー法」の応用例も紹介した。

設定された問いについて、3つの観点ごとにグループに分かれて専門的な資料を読み込む活動を経た後に、それぞれの観点の生徒を含むグループに再編し、分かった知識を説明し合いながら、問いに対する最適な答えを導き出す方法。Zoomのブレークアウトルーム機能をこれらのグループ活動に使うことや、専門的な資料を電子化して配信することを提案した。

熊本高校の早野仁朗教諭は、科学教育から研究人材の育成、創業支援までを支援する「リバネス」と共同で取り組んでいる「ワクワク研究」の試みを発表。「ワクワク研究」は同社が2年前から始めたプロジェクトで、子供がもっと調べてみたいと思ったり、興味を持ったことに対して、どんどん行動したりしていくための学びの状態をステップで示し、その学校の子供が今どの段階にあるのかを分析。教員に提示することで、次の段階に進むための授業改善を行う。

早野教諭は進学校でもある同校の課題として、生徒の評価や教員の実績が大学受験の結果に偏ってしまい、継続的な学習意欲が育たなかったり、教員の新しい教育へのチャレンジを阻害したりしてしまっていることを挙げた。その上で「教員は本当なら、生徒にどんないいところがあり、どんなことに興味関心があるのかを見たい。そうした部分を評価しようとする『ワクワク研究』を取り入れることで、偏差値以外のさまざまな複合的な評価ができるようになる」と狙いを説明した。

リバネスの前田里美・教育総合研究センター長は「多くの学校や先生と一緒に取り組んで分かってきたのは、ワクワクの指標は『総合的な学習の時間』や探究型学習に活用でき、ワクワクの感覚は人から人へ伝染するということだ。さらに、生徒だけでなく先生のワクワクも重要になる。これからの挑戦として、学校の従来の指標にワクワクを組み合わせて、学びへの意欲を総合的に捉えることや、ワクワクの考え方を導入した教員研究もやっていきたい」と展望を語った。

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