【全国学力調査】特別支援とCBT 配慮や公平性を議論

全国学力・学習状況調査のCBT(コンピューター使用型調査、Computer Based Testing)化を検討している文科省のワーキンググループ(WG)は10月29日、第6回会合を開き、障害のある児童生徒が取り組みやすいCBTの方法や、必要な配慮について話し合った。障害の特性に応じたデジタル機能の活用、代替問題などの配慮や、学力調査に求められる公平性の担保などについて意見が交わされた。

まず全国学力・学習状況調査を文科省と共同実施する国立教育政策研究所から、現状で行っている特別な配慮について報告があった。

普段から点字で学習している児童生徒には「点字問題」を作成し、問題文の記述やレイアウト、図表を変えるなど配慮を行っていると説明。また弱視の児童生徒向けにA4判の用紙をB4判に拡大し、文字の大きさやフォントなどを工夫した「拡大文字問題」や、日本語指導が必要な児童生徒などのために「ルビ振り問題」を作成しているとした。

調査環境についても、調査問題の読み上げや付き添いを認めるなどの配慮に加え、障害の種類に応じて、例えば点字を使う児童生徒には調査時間の延長(最大1.5倍)や点字器の使用、肢体不自由の児童生徒には代筆や調査時間の延長(最大1.3倍)、車椅子やつえの使用といった対応を行っていることを示した。

一方、視覚障害のある児童生徒のためのタブレット用教科書・教材閲覧アプリの開発に携わる慶應義塾大学の中野泰志教授は、アプリに「試験モード」を搭載し、各種の試験で活用が進められていることを紹介。

視覚障害のある中学生が音声読み上げ機能と画面のリフロー表示を使いながら、紙の解答用紙に記入する方式で試験を行ったところ、「音声で聞くと問題の意味を理解しやすい」「画面操作によって、文中の設問箇所を探しやすい」などの声があったという。

その上で▽CBTとデジタル教科書のユーザーインターフェースを揃え、普段の学習とテストが乖離(かいり)しないようにすること▽特定の感覚様相に依存しない問題を作成すること▽アクセシブルなシステムと個別の合理的配慮の組み合わせで、総合的に公平性を担保すること――などを提言した。

大学入試センターで障害のある受験者のための配慮を研究する南谷和範准教授は「本質的な能力が同じなら、試験結果も同じになる」という同等性を担保する観点から、これまでの関心は試験時間の延長に集中していたものの、問題の代替にも踏み込む必要性を指摘。

過去の大学入試センター試験で、浮世絵を読み取る日本史の問題や、正しい散布図を選ぶ数学の問題が出題されたケースで、点字問題では代替として図表を文章で説明する措置がなされたことに触れ、今後はテスト理論も活用し、難易度と問う対象が一致する他の問題に自動的に代替することができないかと提案した。

さらに「(障害のある児童生徒の)それぞれの問題での回答状況や時間を観察していくことで、本人の学力ではなく、障害に起因する取り組みづらさが分かるのではないか」と、今後の研究の余地を示唆した。

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