高校普通科改革と新学科の特徴を整理 中教審WG最終回

中教審の「新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ」(高校改革WG)は11月2日、最終回となる第13回会合を開き、前回の議論を受けて修正された審議まとめ案について、改めて検討を行った。審議まとめ案では、スクール・ミッションの再定義として、高校段階における個別最適な学びと協働的な学びの関係について、改めて双方の重要性を整理して書き直したほか、普通科改革の柱となる新学科の特徴について、「総合的な探究の時間」の内容を通して考え方を整理する記述を加えた。会合では、こうした普通科改革には教員定数の確保が必要として、国の支援強化を求める意見などが上がった。

ウェブ会議で行われた中教審高校改革WGの第13回会合

審議まとめ案では、これまでの議論を踏まえ、各高校の存在意義や社会的役割を明確化するスクール・ミッションの再定義について、まず「全ての生徒の可能性を引き出す、個別最適な学びと協働的な学びの実現が求められる」と記し、個別最適な学びと協働的な学びの双方の重要性を指摘。学校のICT環境が整い、個別最適化学習への移行が注目される中で、高校段階においても学校の集団活動などを通した協働的な学習も引き続き重要との基本的な考え方を強調した。

個別最適な学びについては、「生徒が自ら学習を調整しながら取り組む態度を育成する『指導の個別化』という側面」だけでなく、「生徒の興味・関心等に応じ、その生徒ならではの課題の設定等の探究のプロセスに取り組むこと等、主体的に学習を最適化することを教師が促す『学習の個性化』の側面も重要である」と表現。

一方、協働的な学びについては「学校ならではの協働的な学び合いや、地域の方々をはじめ多様な他者と協働して主体的に実社会に関わる課題を解決しようとする探究的な学び、様々な体験活動などを通じ、持続可能な社会の創り手として必要な資質・能力を育成する『協働的な学び』に取り組むことも重要である」と書き込んだ。

また、普通科改革の進め方について、「文系・理系に捉われて、一人一人の生徒にとって将来のキャリア形成に必要となる科目の学習の機会が確保されない状況を改め、総合的な探究の時間を軸として教科等横断的な学びに取り組むなど、生徒が多様な分野の学びに接することができるようにすることが重要である」と指摘。従来のように文系と理系に分けるだけではなく、横断的な学びを進める重要性を明記した。

その上で、普通科改革で2022年度をめどに新設を進める「学際的な学びに重点的に取り組む学科」「地域社会に関する学びに重点的に取り組む学科」について、新学習指導要領が打ち出した「総合的な探究の時間」を活用した探究課題の設定を重視。新学科の在り方について、「『学際的な学びに重点的に取り組む学科』においては複合的かつ分野横断的で、地域社会・国家・国際社会という枠組みをも超えるようなボーダレスな課題に、『地域社会に関する学びに重点的に取り組む学科』においては、高等学校が立地する地元自治体を中心とする地域社会の様々な課題や魅力に関連した探究活動が行われ、各学科において求められる資質・能力の育成が期待される」と説明した。

こうした普通科改革について、教員定数の確保に向けて国の支援強化を求める意見が複数の委員から出された。香山真一・岡山県青少年教育センター閑谷学校所長は「高校は国庫負担ではないため、遠慮がちな表現になっている。都道府県教委や各高校には、ぜひ普通科の新たな学科にチャレンジしてほしいので、国や学校設置者に『支援するための検討が求められる』という言い回しではなく、はっきりと『支援することが求められる』と表現してほしい」と指摘。主査代理の橋本幸三・京都府教育長も「改革は実行されることが大事だが、学校の条件が整わないことも考えられる。地域との連携や学校の新設には、国の支援が期待できる表現がほしい」と述べた。

これに対し、文科省初等中等教育局の酒井啓至・高校担当参事官補佐は「国として必要な人的措置はやっていかなければいけないと考えている。一方、公立高校の教職員定数については、多くの都道府県で国が定めている標準定数が配置されず、未充足になっている。国が人的物的措置を行っても、自治体が措置していない。学校設置者である都道府県がいかに本気で高校政策をしていくか、あわせて考えなければいけない」と説明し、都道府県の対応が重要との見方を示した。

主査を務める荒瀬克己・関西国際大学学長補佐は、議論の終わりに最終的な審議まとめの作成に対して一任を受けた後、13回にわたった高校改革WGの議論を振り返り、「2022年度から高校の学習指導要領が新たな形で展開し、それが一番の主軸となることを忘れてならない。それが一人一人の生徒にとって実効あるものになるために、さまざまな条件整備を進める議論ができたと思う。さまざまな課題を乗り越え、生徒を主語にする高校教育が展開していくこと、それが常に見直され、よりよいものになっていくことを心から願っている」とあいさつした。

高校改革WGは、教育再生実行会議が昨年5月、第11次提言でSociety5.0に向けて高校普通科の改革を求めたことを背景に、普通科改革や地域社会との協働などをテーマに議論を進めてきた。審議まとめ案では、2022年度をめどに「普通教育を主とする学科」の特色化・魅力化を進め、「学際的な学びに重点的に取り組む学科」「地域社会に関する学びに重点的に取り組む学科」などの設置を可能にすることを盛り込んでいる。高校制度の本格的な見直しは1994年の総合学科の導入以来、四半世紀ぶりとされる。審議まとめ案は、上位組織の初等中等教育分科会「新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会」に報告され、来年1月にもまとまる中教審答申に反映される。

次のニュースを読む >

関連
関連記事