「学校も大人も社会から乖離」 工藤勇一校長らが議論

新しい教育の動きを捉える国際カンファレンス「Edvation x Summit 2020 Online」(教育イノベーション協議会主催)が11月3日からオンラインで開かれ、2日目となる4日には、前東京都千代田区立麹町中学校校長の工藤勇一横浜創英中学・高等学校校長と、株式会社が運営する広域通信制高校である第一学院高等学校副理事長の竹下淳司ウィザス取締役第2教育本部長、サッカー元日本代表の本田圭佑選手が代表を務める「NowDo」の鈴木良介取締役副社長(COO)が登壇。「子供たちや学校と社会のつながり」をテーマに議論した。

「子供たちや学校と社会のつながり」をテーマに議論する工藤校長ら(テレビ会議システムで取材)

工藤校長は、日本財団が昨年、17~19歳を対象に9カ国で実施した「国や社会に対する意識調査」の結果を示し、日本の若者は「自分を大人だと思う」や「自分は責任がある社会の一員だと思う」「自分で国や社会を変えられると思う」などの全ての項目で「はい」と答えた回答者の割合が最低だったことを踏まえ、「日本の子供たちは世界の子供たちに比べても子供じみていて、社会に対する当事者意識を失っている。この結果は、子供というよりも大人の姿を象徴しているのかもしれない。社会と乖離(かいり)した日本人像を表している」と指摘。今の日本の学校教育は、よりよい社会を創るという目的を忘れていると強調した。

これに対して竹下取締役は、日本の子供の自尊感情の低さを課題に挙げ、「単に卒業や進学などを目指すのではなく、高校生活のうちに社会との関係性をいかに築くかが問われる。これから環境が大きく変化していく中で、地域を学校として捉えて、保護者や教員以外の大人と社会関係資本をつくることが求められている。教師は伴走役に徹して、子供たちとの接点となる大人を探していくことになる」と応じた。

さらに鈴木COOも、プロのサッカー選手を目指していたものの、けがで指導者の道に進んだ際、サッカーを教えている目の前の子供のほとんどはプロになれないのに、社会に出ていくために必要なことを学ぶ機会が限られていることや、何より自分自身にサッカー以外の選択肢がなかったことに違和感を覚えたことが、プロフェッショナルによるオンラインスクール「NowDo」の原点になったと紹介。

「日本の中高生には、例えば『サッカー以外のことをしてはいけない』という、何か一つのことを貫く美学のようなものがある。膨大な学校生活の中で、少しでも社会のことを知る機会や情報を得られれば、その後のキャリアに生きていくかもしれない。オンラインであれば、隙間時間にさまざまなプロフェッショナルからのインプットがもたらされ、将来への選択肢が持てる」と話した。

また、民間と学校の連携の在り方について話題が移ると、工藤校長は両者が目標を共有し、Win-Winの関係になっていることが重要だとアドバイス。「子供たちは学校に朝8時に来て、午後6時まで部活動があり、その後は塾。これではあまりにも制約が多すぎる。もっと学校を小さくして民間が入るようにしないといけない」と提案した。

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