中教審委員が中間まとめを解説 「同じ思いで改革を」

新しい教育の動きを捉える国際カンファレンス「Edvation x Summit 2020 Online」(教育イノベーション協議会主催)が、11月3日からオンラインで開かれ、2日目となる4日夜には、中教審初等中等教育分科会に関わる委員3名が登壇した。10月に取りまとめた中間まとめの読み解き方や込められた思い、改革の方向性を学校現場と共有するために必要なことなどについて語った。

中間まとめを解説する3人の中教審委員(テレビ会議システムで取材)

登壇したのは、中教審・新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会(特別部会)の座長や、新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ(高校WG)の主査などを務める荒瀬克己・関西国際大学教授▽特別部会臨時委員の神野元基・COMPASSファウンダー▽高校WG委員の岩本悠・地域・教育魅力化プラットフォーム代表理事――の3人。

荒瀬教授は、中間まとめが「○○しなければならない」という書き方ではなく、「教師が子供たち一人一人の学びを最大限に引き出す役割を果たしている」などと学校現場の未来像を描くような書き方としたことについて、「夢が語られており、実現に向けてどうしていくのか、みんなで考えていきましょうという提案をしている」と、書きぶりに込められた意味を説明した。

また、中間まとめでは「今後、全面実施される学習指導要領を、実際に進めていくための条件整備を具体的に提案した」と説明。「学習指導要領には『主体的・対話的で深い学び』という方針があるが、これを具体化するために(中間まとめで強調された)『個別最適な学び』と『協働的な学び』が必要なのだ、と関連付けて見てほしい」とした。

岩本代表理事は高校WGの議論を振り返り、「これからは高校が個性を発揮するとともに、地域社会に学校を開き、連携・協働していく方向に変わっていく。現場が主体的に考え、決めて、マネジメントするという考え方が全体を通しての思想となっている。その中で普通科だけでなく、自分たちの学びを象徴する学科名が認められることになった」と述べ、普通科改革で2022年度をめどに「学際的な学びに重点的に取り組む学科」「地域社会に関する学びに重点的に取り組む学科」の新設を打ち出した背景を説明した。

高校WGで主査も務める荒瀬教授は、「重要なのは、学科を新設することが『できる』と明記したこと。一律に『こうしなければならない』、『こうするべきだ』とするのではなく、生徒に最も近い現場の先生が判断できるようにしている」と指摘した。

神野ファウンダーは「中間まとめに対しては、さまざまな意見が飛び交っている」として、「『令和の日本型教育』の概念があいまいだ」などといった批判があることを紹介。

「イメージや実例でなく、言葉に落ちた瞬間に多くの人にとって納得のいかないものになっていくのが、教育改革の難しいところ。中教審の答申や学習指導要領の解釈を、教育に携わる者全てが真剣に考え、文科省から現場の先生まで全員が同じ思いで改革に臨めるよう、話し合って議論していくことが大切なのではないか」と問題提起した。

荒瀬教授は「(中教審答申や学習指導要領の解釈を)細かく言ってしまうと、『そうしなさい』になってしまう。それでは創意工夫もないし、自分たちの取り組みとして進めていくことが大事というところが伝わらないのではないか」と説明を加えた。

岩本代表理事は「今までの教育を否定するのではなく、多くの先生たちが担ってきた良さは生かすという考え方が根底にある。ただ、その『担い方』は変わっていく。学校が全て担うという自前主義や孤立から、地域社会に学校を開いて、つながる方向に転換する。その際にICTが一つの強力なツールになる」と指摘。

さらに「(答申は)日本語だが、特殊な言葉づかいで暗号のように書かれていて、慣れないと意味が分からないものだな、と感じる。行政だけが分かる言葉ではなく、ちゃんと通訳・翻訳していき、コミュニケーションを取りながら共有していくことが大事だ」と訴えた。

中教審初等中等教育分科会は10月7日、「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~すべての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(中間まとめ)」を取りまとめ、ICTの活用などによる個別最適な学びと、教師や児童生徒同士の関わり合いなどによる協働的な学びを往還する教育の実現を目指すとした。特別部会では、この中間まとめを踏まえ、11月中旬から答申素案の検討に入る。

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