プログラミング教育の実践者が集結 オンラインサミット

全国の小学校プログラミング教育を研究する団体が一堂に会した「ONLINE明日会議」がこのほど、オンラインで開催された。主催は東京都小学校プログラミング教育研究会(都小プロ)。北は北海道から南は沖縄まで参加申し込みは約150人に上り、各研究団体の活動紹介や、プログラミング教育で活用できる教材についての情報交換などが行われた。

トークセッションに登壇した尼崎市の松本教育長

プログラミング教育の可能性を多面的に検討することをテーマに行われたトークセッションには、パネリストとして兵庫県尼崎市の松本眞教育長、都小プロの代表代行で東京都杉並区立天沼小学校の松野泰一校長、青森県つがる市立育成小学校の前多昌顕教諭、NPO法人「みんなのコード」の利根川裕太代表理事が登壇。東京学芸大学教育学部の高橋純准教授がモデレーターを務めた。

尼崎市はコロナ禍においてもオンライン教育を短期で推進したが、松本教育長が2018年に着任した際は同市のICT環境はかなり遅れており、9.8人に1台という環境で、全国1816自治体のうち1744位だった。機器も予算もない中で、「民間企業と連携したり、プログラミング研究会を立ち上げたりするなどして、学校現場が『何やらICT関係で、いろいろと動いているぞ?』『ICTの波が来ているぞ』と感じるような機会を意図してつくっていった」と松本教育長は振り返った。

また、その後も教員の自主研究グループの活動や、プログラミング教育先進地域への短期派遣研修を支援するなどして、学び続ける教員をバックアップしていったといい、「今後も研究環境、研修環境の充実が極めて重要になると考えている」と話した。

松野校長はプログラミング教育の発展のために、各校で管理職ができることとして、「教員にプログラミングの面白さ、実践を体験してもらうこと。校内の環境や雰囲気を整えることが大事だと思う」と述べた。

また、プログラミング教育を推進する中で一番の障壁となるのは、自治体のセキュリティポリシーだとし、「例えば、区や市がブルートゥースは使えない、USBの書き出しはできないという環境であれば、micro:bit(マイクロビット)やMESH(メッシュ)といった教材は使えない。ここを管理職や学校単位で変えることは難しいので、校長はさまざまな機会において教育委員会に働き掛け、学校が使いやすい環境を一緒に考え、整えていくことが大切だ」と話した。

セッションでは他にも、プログラミング教育に対して消極的な教員もいる中での、校内研修の重要さについても語られた。利根川代表理事は「どうすればプログラミングを楽しいと思ってくれるのかを考えて、校内研修を設計するべき」とアドバイス。

それに対し、前多教諭は「自分はプログラミング教育が楽しくてたまらないから、進んで取り組んでいる。大人が楽しんでいる姿を子供に見せ続けることが大切だと思っている」と述べ、松野校長も「みんなが楽しくやっている姿を見ると、興味のない教員や新しく異動してきた教員などもやってみようと思うもの。そうした姿を見せること自体が、一番意味のある校内研修になるのではないか」と強調した。

その後はZoomのブレイクアウト機能を使って参加者間のディスカッションが行われ、「ICT機器はあっても最新のものではないので使い勝手が悪い。最新のものに近づけていくことをしないと、手間取る教員も多いのではないか」「若手教員の意識をどのように高めていくべきか、具体策が知りたい」「今日の会合で今後の糸口が見えてきた」といった意見や感想が出された。

最後に松野校長は「今日は各現場の取り組みを全国に発信できた。東京都には都小プロが立ち上がっているが、今後は各地でも同様の研究組織が立ち上がり、全国組織になることを願っている」と展望を語った。

次のニュースを読む >

関連