コロナ禍だからこそ笑いを 小学生が「教育漫才」に挑戦

こんな時代だからこそ、学校に温かい笑いを――。埼玉県越谷市立新方小学校(田畑栄一校長、児童203人)の6年生41人が、2学期から「教育漫才」に取り組んでいる。児童たちはくじ引きで決めたペアになってオリジナルの漫才ネタを考え、10月末に5年生の前で披露。11月4日に行われた授業では、その際の動画を振り返りながら、より良い漫才にしていくための分析会を行った。

児童から活発に意見が出された分析会

「教育漫才」とは、田畑校長が2013年度から5年間、校長として赴任していた越谷市立東越谷小学校で行なっていた実践。子供たちの人間関係を円滑にすることを目的とし、吉本興業の協力も得ながら作り上げていった独自の取り組みだ。

新方小学校では、2学期に入って係決めを行う際に、6年生からクラスに「お笑い係」をつくりたいとの希望が出た。そこで、「お笑い係」を希望する児童らに対して田畑校長が「教育漫才」の話をしたところ、児童からやってみたいと声が上がり、総合的な学習の時間を使って取り組みが始まった。

6年生の担任である吉野学之紀(たかゆき)教諭は「なんでも話せるようなクラスの雰囲気や人間関係をつくり上げていくためにも、教育漫才に取り組んでみようと思った」と導入の狙いを話す。

これまでの授業では、まず田畑校長から「ネタは他人を傷つけるような内容にしない」「『ウザい』や『死ね』など、マイナスな言葉や激しい身体接触がないようにする」「コンビは原則くじ引きで決め、誰とでもできるように」「漫才の基本は三段落ち」「温かい笑いをつくろう」など、教育漫才についてのレクチャーを受けた。

その後は、くじ引きで決まったコンビごとにそれぞれが自由にネタをつくり、学年内で見せ合うなどして練習を重ね、10月末に行われた5回目の授業では5年生の前で漫才を披露した。

児童らは初めてのネタ作りに苦労したようだが、「どう表現するかを考え、表現力が付いたと思う」「最初は恥ずかしかったけど、練習をしていくうちに『こうすればもっと笑ってくれるかな?』と考えるのが楽しくなり、自分から発表したいと思うようになった」と前向きな感想が多く聞かれた。

吉野教諭は「コンビで一つの漫才を作っていく様子をみて、子供たちに笑いを作る素地があったということに驚かされた。一からネタを作れるなんて、本当にすごい」と話し、「5年生の前で披露したことで、度胸もついたし、アピール方法や表現方法を試行錯誤しながら身に付けたようだ」と、子供たちの成長に目を細めた。

また、コンビをくじ引きで決めることに対して、最初は不安がる子供たちが多かったと言うが、「コンビになる前は少し仲がいい程度だったが、漫才の練習を通してもう一段階、仲良くなれた」「あまり関わりがなかった子とコンビになったけれど、ネタを考えていく中で自然と話すようになれた」と、新たな人間関係の構築につながっている様子が見て取れた。

11月4日に行われた分析会では、5年生の前で披露した際に児童から評価の高かった2組の漫才をビデオで見た上で、「より良い漫才をするためには、どうすれば良いか考えよう」というテーマで話し合った。

児童からは、評価された2組の良かった点について、「場面に応じた声の大きさや動きで伝わりやすい」「ヒソヒソ声も効果的に使っていて、静と動のメリハリがついていた」と意見が出された。

その上で、自分たちの漫才をさらに良くしていくために、「表情も場面に合わせて変える」「独特の動きやフレーズを入れたら観客の印象に残るのでは」「場面によってテンポを変えたり、間をとったりすると『今、ボケている』と伝わりやすくなるかも」などと、活発に意見が出されていた。

今後は再びくじ引きで新たなペアを作り、第2クールに入っていく。コロナ禍の状況次第ではあるが、漫才大会のようなものができればと、吉野教諭は考えているそうだ。

「学校の授業でお笑いをやるということは、まずないだろう。子供たちも私自身も、本当に楽しんでやっていた。このコロナ禍に『あっという間に1時間が終わってしまった』というような授業ができたのは良かった」と、これまでの取り組みを振り返った。

6年生の取り組みを見守ってきた田畑校長は「まずやってみて、その価値を体験させ、さらにそれを積み重ねていくことで、子供のプレゼンテーション力、コミュニケーション力、人間関係が変わっていく。すでに子供たちの変化を実感してきているが、さらにサポートして、子供たちを変容させていきたい」と展望を語った。

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