個別最適化へ3つのログの活用を 教育再生実行会議TF

ポストコロナ時代の教育の方向性を議論している政府の教育再生実行会議は11月12日、デジタル化タスクフォースの第2回会合を開き、教育のデジタル化に向けた論点を巡り、委員を務める3人の専門家が意見発表を行った。個別最適な学びの実現に向けた3つのログの活用や、データ駆動型教育の重要性、児童生徒一人一人のマイページによる情報の一元化など、それぞれの専門家が教育のデジタル化を考える視座を提供した。

教育のデジタル化を協議した教育再生実行会議デジタル化タスクフォースの第2回会合

会合では、▽藤村裕一・鳴門教育大学大学院遠隔教育プログラム推進室長▽喜連川優・情報・システム研究機構国立情報学研究所長▽堀田龍也・東北大学大学院情報科学研究科教授――の3人が意見発表を行った。

内閣官房教育再生実行会議担当室によると、藤村氏は、教育のデジタル化について、「教科等の指導におけるICTの活用」「校務の情報化」「情報教育」の3分野で考えるべきだと説明。このうち教科等の指導におけるICTの活用では、①スタディ・ログ(学習履歴)②ライフ・ログ(生活の様子や心や健康の記録) ③アシスト・ ログ(指導記録)――の3つのログ記録によって個別最適な学びや生徒指導を行うことが大切であり、そのためには LMS(Learning Management System、学習管理システム)の整備や児童生徒一人一人へのID付与が必要になる、と指摘した。このIDはマイナンバーとリンクする可能性もあるという。

喜連川氏は、データ駆動型教育の重要性を強調。医療情報が全てエビデンス(科学的根拠)に裏付けられているように、教育分野でもエビデンスに裏付けられたデータを基にすることよって、教育を高品質にしていくことができる、と指摘。そのためには、長期的な視点に立った取り組みが必要になると訴えた。

堀田氏は、現状では、多くの学校で就学時に記入するほとんどの書類が今も手書きのままで、児童生徒の情報が突き合わされにくく、学習支援に必要な情報のマッチングも行いにくいため、今後、さまざまなデジタルサービスが登場しても、個別最適な学びの実現や教師の多忙化解消につながらない、と指摘。学校教育のDX(Digital Transformation)に向けて、就学時に学校管理者である市区町村が管理する戸籍などの情報をベースに、児童生徒一人一人のマイページを作り、保護者による情報提供の一元化、校務支援システムなどへのインポート、学校教育で利用する名簿などの自動作成など、合理的なシステムの導入を国が検討するよう提案した。

また、学校健康診断など健康情報と学習情報の関連付けや、学習履歴(スタディ・ログ)の活用、個人情報保護規制など教育データの流通が拒まれる制度的な課題を持つ自治体への指導などについても、国が主導する対応が必要だと指摘した。

こうした専門家の意見発表を受け、萩生田光一文科相は「どうやって実現していったらいいか、具体的な方法を提案してほしい。3つのログをどう活用するか、そのためにどのような課題があるのか議論が必要だ」などと述べたという。

教育再生実行会議では、少人数学級などを検討する初等中等教育と、大学教育の強靱(きょうじん)化などに取り組む高等教育の2つのワーキンググループ(WG)で議論を進める中、菅義偉首相が教育分野におけるデジタル技術の在り方について議論を深めるよう指示したことを受け、デジタル化タスクフォースが設置された。教育のデジタル化に関わる内容について重点的に検討し、両WGの議論に反映させる。

次のニュースを読む >

関連