少人数学級は「不退転の決意」 文科相が関係団体に誓う

校長会や日本PTA全国協議会など、教育関係23団体で構成される「子どもたちの豊かな育ちと学びを支援する教育関係団体連絡会」は11月12日、東京都千代田区の参議院議員会館で全国集会を開き、新型コロナウイルスの感染防止対策としての少人数学級の実現と、学校における働き方改革の推進を求めるアピールを採択した。萩生田光一文科相は少人数学級の実現について「不退転の決意で取り組んでいきたい」と参加者を前に誓った。

参加者に対し少人数学級の実現を誓う萩生田文科相

集会は感染防止対策のため、例年より参加者を絞り、各党の代表者や文科省職員、関係団体代表者ら、約100人が出席した。開会のあいさつに立った日本PTA全国協議会の清水敬介会長は「参加者の人数に関わらず、私たちの教育に寄せる思いは変わることがない。むしろ、このようなときだからこそ、子供たちの学びを止めない、人と人とが学び合い、育て合う学校という現場をしっかりと支えたいという強い思いでこの場に集まっている」と強調。国による良質な教育環境の整備を訴えた。

来賓として出席した萩生田文科相は「昨年の国会で給特法の改正が行われ、本来なら今年は、学校現場の働き方改革の元年。少しずつきちんと働き方を変えていこうという矢先に、このコロナ禍で全国一斉休校など多くの課題を抱えることになってしまった」と述べ、感染防止対策や学びの保障で負担が大きくなっている学校現場をねぎらった。その一方で、実施が難しくなっている修学旅行をはじめとする学校行事は子供たちが楽しみにしているとして、今年度中に何らかの形で行うことを改めて求めた。

また、「GIGAスクール構想の実現と、その効果を最大化する少人数学級の実現が、まさに両輪となる。安全な環境において子供たちの学びをしっかりと保障し、個別最適な学びと協働的な学びをさらに進めていくためにも、少人数学級の実現が不可欠であり、私自身、不退転の決意で取り組んでいきたいと思っている」と述べた。

アピール文の採択を求める全国連合小学校長会(全連小)会長の喜名朝博・東京都江東区立明治小学校校長

自民党政務調査会長代理で衆院議員の馳浩元文科相は「3次補正の指示が昨日、菅総理から出された。自由民主党としても政策の弾込めをしている。3次補正もある、予備費もまだある、来年度予算も控えている。この3本柱を有効に使っていく度胸が文部科学省にはあるか。それを後押しするのが私たちの役目だと思っている」と叱咤激励し、今後の国会審議では与野党で連携しながら、教育分野における新型コロナ対策の財源確保に努める考えを示した。

立憲民主党代表代行で、衆院議員の平野博文元文科相は「給特法の問題をどうするのかという議論が起こった。これは古い法律で、現場の姿には見合っていない法体系だ。これを何としても抜本的に改革しなければいけないと思っている。特にこのコロナ禍で、経済が崩壊する、医療現場が崩壊すると言われているが、一方で教育現場が崩壊する可能性だって多分にある」と、コロナ禍における教員の長時間労働の問題と給特法の抜本的な見直しの必要性を指摘した。

採択されたアピールは次の通り。

少人数学級の実現と学校における働き方改革の推進等を求めるアピール

次代を担う子供たちの健やかな成長は、全ての大人たちの願いであり、子供たちが全国どこに生まれ、どんな家庭環境で育ったとしても、等しく良質な学校教育を受けられるようにすることは、私たち大人、そして国の責務です。

高い水準の豊かな教育を実現するためには「教職員の資質の向上と数の充実」が不可欠です。ソサエティ5.0時代の到来を見据え、子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びを実現するとともに、今般の新型コロナウイルス感染症対応を踏まえ、安全・安心な教育環境を確保しつつ、全ての子供たちの学びを保障するためには、少人数学級の実現やICT教育環境の整備等、新しい時代の学びの環境整備を進めることが不可欠であり、より一層の良質な教育を子供たちに約束することが、私たち教育に携わる者の責務であります。

また、学校や子供たちを取り巻く状況は、ますます複雑化、多様化、困難化しており、学校における働き方改革は急務となっています。

以上のことを踏まえ、私たちは日本の全ての人々に、次の事項の実現を強くアピールします。

一、ICTの効果的な活用を含むきめ細かな指導の充実、個別最適な学びの実現及び次なる感染症等の緊急時においても、全ての子供たちの学びを保障するため、学級編制の標準を引き下げ、少人数学級を実現すること。

一、教育現場が抱える様々な課題への対応、感染症対応、教員の負担軽減による教育の質の向上を図るため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置促進やSNS等を活用した相談事業を推進するとともに、学習指導員、スクール・サポート・スタッフ、部活動指導員の配置促進を進めること。また、東日本大震災をはじめとする地震や豪雨等の自然災害により被災した児童生徒のための教職員やスクールカウンセラーによる支援を今後も継続的に行うこと。

一、ICTの活用により全ての子供たちの学びを保障できる環境を実現し、より一層の質の高い教育環境を実現するため、「GIGAスクール構想」における人的支援・学びの充実・通信環境整備を進めること。

一、意欲と情熱をもって教育に取り組む優れた教職員を確保するため、人材確保法の趣旨を踏まえた措置とともに、教育の機会均等とその水準の維持向上を図るため、その根幹となる義務教育費国庫負担制度を堅持すること。また、地方財政を圧迫し、人材確保に支障を生じたり、地域間格差が生じたりすることのないよう、義務教育費国庫負担金及び地方交付税の財源確保を行うこと。

一、教育投資は未来の日本への先行投資であり、国の最重要事項であることから、右に掲げる諸方策の実現に当たっては、既存の教育予算の削減や付け替え等によるのではなく、計画的・安定的な財源確保を行うこと。

令和二年十一月十二日

子どもたちの豊かな育ちと学びを支援する教育関係団体連絡会

日本PTA全国協議会、日本教育会、全国市町村教育委員会連合会、全国都市教育長協議会、中核市教育長会、全国町村教育長会、全国連合小学校長会、全日本中学校長会、全国公立小・中学校女性校長会、全国特別支援学校長会、全国連合退職校長会、全国高等学校長協会、全国公立学校教頭会、全国特別支援教育推進連盟、全国へき地教育研究連盟、日本連合教育会、全国養護教諭連絡協議会、全国公立小中学校事務職員研究会、全国学校栄養士協議会、日本教職員組合、全日本教職員連盟、日本高等学校教職員組合、全国教育管理職員団体協議会

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