30人学級の人件費は年5087億円増 市民団体が試算

少人数学級について独自に調査を行っている市民団体「ゆとりある教育を求め全国の教育条件を調べる会」(小宮幸夫会長)は11月13日、文科省で記者会見を開き、現状の非正規教員を正規の教員にした場合の少人数学級の試算結果を公表した。それによると、萩生田光一文科相が表明した30人学級編制の実現には、公立小中学校などの教員を約4万6000人増やし、国と地方で年間5087億円の人件費を負担すれば可能だとした。

新たな試算について説明する「調べる会」の小宮会長(右)と山﨑事務局長

新型コロナウイルスによる感染防止対策として少人数学級が注目されたことを受けて、同会は文科省や各地の教育委員会に情報公開請求して得たデータなどを基に、6月にも試算を発表し、35人学級で追加が必要な教員数を「マイナス1114人」としていたが、その後、集計上のミスが分かり、改めて試算し直した。併せて今回の試算では、現状の非正規教員を正規教員とするために必要な費用も加味した。

その結果、昨年度ベースで35人学級編制は876人の教員増、国・地方の追加人件費は1515億990万円と試算。同様に30人学級は4万5978人増、5087億1774万円、25人学級編制は8万7878人、8405億6574万円、20人学級は10万8918人、1兆72億254万円となった=表参照。

少人数学級の試算結果

試算を踏まえ同会は、前回の提言で盛り込んだ▽来年度からの35人学級の実現▽再来年度以降、15年かけて20人以下の学級を実現▽教員養成と教室確保の計画的な実施――に加えて、追加する教員は非正規ではなく正規とすることを求めた。

非正規教員ではなく正規教員による追加を求めた理由について、同会では、昨年度に全国の公立小中学校・義務教育学校の非常勤講師の実人数は全国で2万7728人に上るが、その総労働時間をフルタイムの労働時間に換算すると7701人分であり、実質的に2人分の労働力が「空費」されていると指摘。正規で教員を任用すれば、各地で深刻化している教員未配置問題は起こりにくくなり、非正規だった教員が安定した正規の教員になれれば、安心して働くことができるので、教員の質の確保にもつながると提案した。

同会事務局長で元小学校教員の山﨑洋介さんは「教育界において少人数学級は悲願だったが、財政問題が立ちはだかり実現してこなかった。その結果、世界で最も学級の人数が多い状態が解消されないまま、コロナで休校や分散登校を余儀なくされた。もしもすでに少人数学級が実現していたら、休校や分散登校をする必要はなかったかもしれない。少人数学級は決してぜいたくではなく、当たり前の実現をお願いしているだけだ」と訴えた。

さらに、少人数学級を巡る議論について、「財務省と文科省の間でも、ずっとかみ合わないままだ。財政的なデータなどをできるだけ公開し、しっかりとした研究を積み上げるべきだ。この試算は稚拙なものかもしれないが、たたき台になれば。間違いがあるとするならば、ぜひそれを指摘してもらいたい。そうすることで、議論がより深まっていく」と呼び掛けた。

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