デジタル教科書の使用基準、撤廃望む声相次ぐ 検討会議

学習者用デジタル教科書の授業での使用を、教科ごとに授業時数の2分の1未満としている現行基準の見直しが求められていることを受け、文科省の検討会議は11月13日、この使用基準を見直すべきかどうかについて議論した。多くの委員が使用基準の撤廃を求めた一方、小中学校の校長会関係者からは「拙速だ」との声が上がった。検討会議は今回の議論を踏まえ、12月に行われる次回会合で基準の見直しの方向性を示す。

今回の検討会議では「2分の1という数字には明確な根拠がない」「学習の効果があるならば、発達段階に応じて使っていくべき」「(特例とされている)特別支援教育では、すでに2分の1以上使われている」など、現行の使用基準をなくすことが望ましいという意見が委員から相次いだ。ただ、児童生徒の目の負担など、健康面への配慮が必要だとする声も多かった。

また「基準をなくしても、授業時数の2分の1以上で使わなければいけないということではない。デジタル教科書を使う、使わないといった学校現場の選択肢を広げるのではないか。ただ学校の教育方針により、子供たちのデジタル・リテラシーに格差が生じないように配慮する必要はある」という意見もあった。

ただ、全国連合小学校長会の赤堀美子調査研究部長は「ほとんどの学校では学習者用デジタル教科書は使用していない状況。1人1台端末に基づいての実証研究はこれからで、使用に関する枠組みは明確になっていない。学校現場では、デジタル教科書さえ使っていればよい授業になる、という誤った風潮につながる恐れがある。現段階で議論をすることについては疑問だ」と慎重な姿勢を示した。

同じく、全日本中学校長会の福山隆彦教育情報部長も「教員が段階的に指導力を身に付けたり、生徒が自身で健康への影響を意識して使い方をコントロールしたりする取り組みがまだ進んでおらず、保護者・家庭へ周知する期間も必要だ。こうした課題が解決されないまま、現時点で基準を外すべきではないと考えている」と主張した。

検討会議の座長を務める東北大学大学院情報科学研究科の堀田龍也教授は「まだ活用していない状況では、不安があるのは当然だ」と理解を示しつつも、「これから多くの学校が取り組んでいくことになる。先んじて制度を改革しておかないと、いつまでも規制に縛られて、昔のままになってしまうというのは怖いことだと思う」と述べた。

その上で基準の見直しについて、「デジタル教科書を使って熱心に取り組み、子供の情報活用能力が身に付き、教員の指導力も向上した時に、2分の1未満という規制が邪魔にならないようにしておこうということだ。ICTや情報活用能力はこれからの時代には不可欠で、義務教育の段階でしっかり保障していかなければならない」と結んだ。

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