少人数学級「30人学級を目指すべきだ」 文科相が明言

来年度予算編成で文科省が要求している少人数学級について、萩生田光一文科相は11月13日、閣議後の記者会見で、「令和の時代の新しい学校の姿として、私としては30人学級を目指すべきだと考えている」と述べ、義務標準法を改正して学級編制を現在の40人から30人に引き下げるべきだとの考えを明らかにした。学級編制の引き下げには、教職員定数の増加が財政負担増につながりかねないとして財務当局が慎重な姿勢をとっている。萩生田文科相が「目標の目安」として30人学級の実現を明言したことで、少人数学級を巡る文科省と財務省の予算折衝は一段と激しさを増しそうだ。

国会内で閣議後の記者会見を行う萩生田光一文科相

萩生田文科相は、学級編制の引き下げを求める理由について、「新たな感染症対策のため、現状の教室の広さの中で、身体的距離を確保することがまず必要。また教育のさらなる質の向上を図るためには、1人1台端末を活用し、1人1人に応じたきめの細かな指導を行う必要がある」と説明。感染症対策とICTを活用した個別最適な学びという、2つの狙いを学校現場で実現するため、「令和の時代の新しい学校の姿として、私としては30人学級を目指すべきだと考えている」と、きっぱりと話した。

これに伴う財政負担については、「(30人学級を)実現するためには、一定期間かけて段階的、計画的に進める必要がある。この場合は毎年度、新たに必要となる教職員定数は小さく、採用者数を大幅に増やすことなく実現可能と考えている」と説明。続けて「すなわち(児童生徒数が減少する中で、教職員定数を現状維持することで生じる)自然増の分でやりくりをしていけば、財務省が言っている8万人とか9万人(の教職員が)が直ちに必要になるという計算はない、と私は思っている」と述べ、教職員数を確保するために新たな財政負担は生じないとの見方を強調した。

ただ、児童生徒数の増減は今後、自治体によってまちまちになると予想されることから、「人口減少していない一部の都市では、教室の確保などの対応が困難なケースも想定される。そういった市町村については、実情に応じて、段階的弾力的な取り扱いが必要ではないかと考えている」と説明を補足した。

その上で「30という数字を決めたわけではなくて、目標として目安を示させていただいた。ここは関係者とよく相談しながら、より子供たちの学びに資する、実効性の高い学校の姿の在り方をしっかり検討し、話を進めていきたいと思っている」と、今後の予算折衝を通じて財務当局や学校関係者らの理解を得ていく考えを示した。

また、学級編制引き下げの対象については、「(義務標準法の)法改正をするということであれば、当然、小中が対象になる。高校については、義務教育ではないが、(小中学校が)基準になって、変わってくることもあると思う」と話した。

少人数学級の実現は、文科省が来年度予算の概算要求で、事項要求(予算編成過程で具体的な内容を検討する予算要求)として盛り込んだ。これに対し、財務相の諮問機関である財政制度等審議会(財政審)が「平成以降、児童生徒数ほど教職員定数は減少しておらず、実質20万人増加している」と否定的な見方を示した資料を公表するなど、財務当局は慎重姿勢を崩していない。

今年7月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2020」(骨太の方針)では、「少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備やICTの活用など、新しい時代の学びの環境の整備について関係者間で丁寧に検討する」と明記されており、これが予算折衝のベースになっている。一方、校長会や日本PTA全国協議会など教育関係23団体が11月12日の全国集会で、感染症対策としての少人数学級の実現と、学校における働き方改革の推進を求めるアピールを採択するなど、学校現場では少人数学級の実現を求める声が高まっている。文科省では、こうした閣議決定や学校現場の声を背景に、財務当局の理解を粘り強く求めていく方針。

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